第26話

「ウォン!!」


 レンの声が聞こえた。吹雪が吹き荒れ、7人の体が凍りつきはじめる。


「レン!」


 レンが来た。もう大丈夫だ。わたしも立ってるのは限界だった。膝をつく。


「リア!」

 アルが私を心配して、レオンを引きずりながら近づいてくる。


「きゃん!」

 テンが水の盾を張った。わたしたちをかばうためだろう。でも、テンももう限界のはずだ。


「テン、おいで」


 テンは様子をうかがいながら、後ずさりをし、近づいてきた。手の届くところに来たテンに手を伸ばす。


「良い子。ありがとう。もう、大丈夫だよ。」

「きゅん」


 テンの大きさが戻った。やっぱり限界だったんだ。わたしは、テンを抱き上げ、ウェストポーチの中にいれた。


「ウォン!!」


 さっきより大きい吹雪だ。


「ウォン!!!」


 氷の矢まで出している。

 私が出した炎なんてもうどこにも残っていない。


「ウォン!!!」

 私の可愛い子供たちに何をするのよ!って言ってる。めちゃめちゃ怒ってるなあ。

 お父さんはどこだろう。



「リア―!!!レンを止めろー!」

「え?」


 お父さんは走ってきている。泥だらけだ。まさか落とされた?


「リアー!レンを止めるんだー!セイだ!」

「え???レン!セイ!」


 魔物つかいの呪文でレンを止める。これはめったに使わない。使い魔の暴走を止める呪文だ。契約相手にしか使えないはずなんだけど・・・


「ウォン」

 不満そうだが、レンが止まった。


 こっちに来る。

「ウォン」

 私の顔を、次にテンの顔を舐めた。私が来たからにはもうだいじょうぶよ。と言っている。


「レンー!怖かったよー!!」


 レンに抱き着いた。ふかふかの毛皮に安心する。


「リア!アル!大丈夫か!?ケガは?」

 お父さんが私とアルに話しかける。私たちを抱きしめ、髪を見て帽子を取り出し頭にかぶせる。


「レオンが・・・」

 レオンはもう意識を失っていた。

 お父さんがレオンのけがに回復魔法をかける。


キンバク!」


 お母さんの声が聞こえたと思ったら、地面から鎖が伸びて氷の塊になりつつあった襲撃者たちが縛られた。


ヒョウフウゾク!」


 氷の吹雪が吹き荒れている。あれ?レンを止めた意味なくない?いいの?


「リア!アル!」

 お母さんが私たちを抱きしめる。


「無事でよかった。」

「でも髪が・・・」

シキコク!」

 アルの髪が黒に戻る。


シキ!」

 私の髪の色もミルクティブラウンに戻った。


「これで大丈夫よ。」

「うん。」

「ありがとう。」


「さあ、帰りましょう。」

「この人たちは?」

「あなたたちは気にしなくていいの。」

「うん。」


 私たちはその場を後にし、家に向かった。


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