第25話

「待て!」


 いきなり呼び止められた。

 なんだ?と振り返ると10人ぐらいの男の人がいた。


「解!」

「え?」「なに?」「うわ。」

「きゃん!」


 テンがカバンから出て大きくなり私の前に立つ。


「あ…髪の毛が。」

「リア、戻ってるぞ。」

「アルもね。」

「え、どういうこと?2人も色を変えてたの?」


 レオンがびっくりしている。


「元の色だとだと目立つからな。」

「あーあ。せっかく気に入ってたのにあの色。」

「黒にしとけば簡単なのにな。」

「ミルクティベージュ良くない?色素カタログで見つけたんだ。」


 私たちは、お母さんたちに言われて髪の色を変えていた。アルは金色から黒色に。私は銀色からミルクティベージュにだ。

 気に入ってたのに。この調整大変なんだよ。


「どっちだ!?」

「どっちも捕まえろ!」


「テン!雷!」

「きゃん!」

 バリバリバリー!

 レベルアップの成果があったようだ。3人がふらふらになって倒れた。


 ピィィィィー!

 レンを呼ぶ笛を吹く。


「なんだ!?」

「あの子魔物つかいだ。本人は弱いはずだぞ。」

「2人は何者だ?装備を見る限り剣士か?」


 襲撃者たちは、ジリジリと剣を構えながら私たちを取り囲む。


「リア、どうする?」

「7人は多いね。」

「2人は逃げてくれ。」

「レオン!?」


 レオンが一歩前に出る。


「何言ってるんだよ。」

「そうだよ。さっきレンを呼んだからしばらく持ち堪えればなんとかなるよ。」


「テン!風!」

「きゃん!」

「炎!」

 火の竜巻を起こし、距離を取る。


「あちぃ。」

「あちっ、あの女の子、魔法も使えますよ!」

「ダブルスキラーか!厄介な。」


 私たちはジリジリと下がりながら、相談する。

「リア…俺、」

「アル、ダメ。」


 アルが結界を張ろうとしているのがわかる。でもダメだ。人前で絶対使っちゃダメだし、使わせたらダメって言われてる。


「でも、」

「まだいけるよ!ね、テン!」

「きゃん!」


 向こうにも魔法使いがいるみたいで、水魔法を使っている。でも、火の上位魔法と使い魔の風という複合魔法には苦戦しているようだ。


 シュ!

 カン!


 矢が飛んでくる。それをアルとレオンが剣で撃ち落とす。

 背中を向けて走るのは危険そうだ。


「テン!風!」

「きゃん!」


「うわっ!」

「あちっ、」


 距離を稼ぐ。できれば矢の届かないぐらいの距離を取りたい。


 シュ!

「つっ!」

「レオン!」

「大丈夫!かすっただけだから!」


 そう言うが、レオンの腕からは血が流れている。回復魔法をかけたいが、かけている間に攻撃されたら防ぎきれない。


「テン!風!」

「きゃん!」

「炎!」


 炎の竜巻をもう一度出す。熱い。


 また少し距離は広がるがまだまだ矢は届くようだ。どうしよう。

「リア、俺、やっぱり…」

「ダメってば。使ったらまた引っ越さないといけなくなるよ!」


 ドサッ、

 レオンが膝をついた。


「レオン!?」


 シュ!

「くそう!」

 アルがレオンの前に立って矢を弾く。

 わたしにも矢が降り注ぐ。


「きゃん!」


 テンが風の盾を張った。

 矢を跳ね返す。

 盾を張っている間は攻撃できない。


 どうしよう。あと少し。あと少し頑張ればお父さんが来るはずだ。


 お父さん、レン、早く来て…



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