第22話

 冒険者の資格をとり、わたしの毎日は少し変わった。平日5日のうち3日、放課後にダンジョンに向かうようになったのだ。

 コツコツとダンジョンに通い、レベルアップをしていった結果、私たちが全員がEランクに上がったのは、夏休み直前のことだった。

 わたしとテンは、Eランク一番乗りだったので、レベルは25になっているが、みんなには内緒である。


 今日は休日だが全員がEランクになったこともあって、パーティ講習を受けにきている。

 Eランクになると、今までよりも上昇階に行けるのでモンスターが強くなるのである。


「前衛と後衛の連携を大事にしてください。前衛の人は、モンスターの攻撃を受ける防御方法を身につけないといけません。後衛の人は隙をついて攻撃する必要があるので、命中力をあげてください。……」


 説明してくれているお姉さんの話をテンの背中を触りながら聞く。テンは机の上に乗り真剣にお姉さんの話を聞いているのだ。

 私より真剣に聞いてるよね。偉いなあ。


 実は、魔物つかいは、前衛も後衛もこなせるスキルだ。使い魔に前衛を任せて、弓矢で攻撃したり、剣や盾で受けている間に使い魔に魔法で攻撃させたりとできる。わたしは魔法使いのスキルもあるし、剣もそこそこ鍛えてるので余計どっちでもいいポジションだ。

 まあ、私たちのパーティには、前衛が3人いるので、わたしもテンも後衛を担当するのだが。



「……それでは、パーティ毎に話し合ってシュミレーションしてみましょう。」


 説明が終わったようだ。私たちは向き合って話し始めた。テンが机の上からわたしの膝の上に移動する。もふもふの膝掛けだ。


「アル、レオン、マヤが先に攻撃して、その隙に私たちが2段目の攻撃すればいいのかな?」

 ユラが言う。


「相手の攻撃を受けて、動きを止めないといけないよね?小手の強度上げないとダメかな。」

 マヤが言う。


「俺がモンスターの攻撃、受けるようにする。マヤは回復魔法も頼む。」

「僕もそうするよ。」

 アル、レオンが言う。


「ユラとわたしとテンは攻撃の精度を上げれるように練習しなくちゃってことだね。あ、最初にテンに雷で攻撃してもらって痺れさせてとくのもいいね。」「きゃん」



「じゃあひとまず、モンスターからの攻撃は俺とレオンが受けて、マヤがその次に来た攻撃を受ける。マヤは回復魔法を優先な。リアテンとユラがモンスターに全体攻撃したり、細かく調整するってことで。」

 アルが言う。

「オッケー。あとはやってみてから考えよう。」

 レオンが答えた。


 色々考えたが、頭で考えてもよくわからなかったので、やりながら考えていくことにした。



 ちなみに、経験値はモンスターの討伐に関わっていると貢献に従って入るらしい。仕組みがよくわからないが、誰かに経験値が入らないとかならなくてよかった。


 講習後は、受付に行って、パーティ登録だ。登録しておくと、1人では行けないところも実力に応じて行けるようになるらしい。

 私たちはまだ冒険者資格をとりたてだし、パーティも組み立てなので、あまり変わらないが、今から登録しとくと実績が積まれていくそうだ。


 パーティはアルをリーダーとして登録しておいた。私たちの中でアルが1番しっかりしているし、リーダーシップもあるので適任だと思う。


 夏休み、魔法使いの里に行って祠に行くには、もうちょっとレベル上げないとダメかな。家に帰ったらお母さんに相談しよう。





 連携の練習のため、ダンジョンに向かう。今日は10階に行く。10階へはエレベーターがあり、Eランクだと降りれるのだ。


 10階で降りると、スモールミノタウロスがいた。スモールと言っても私たちよりは、大きい。

「じゃあやってみるぞ。まずは俺が攻撃して、反撃を受け止める。右からマヤ、左からレオンが攻撃して、後衛は一点集中の魔法を打ち込んでくれ。」

「うん。」「わかった。」


「ヤア!」

 アルが打ち込む。

「モー!!!」

 スモールミノタウロスはオノで、アルを攻撃する。アルが受け止めると

「ハア!」

 スパン!

「ヤア!」

 ザクッ

 マヤが拳で打ち、レオンが剣で切る。

「テン!雷!」

「きゃん」

「えい!」

 とユラが炎で焼く。

 スモールミノタウロスがよろけた。


 アルが受け止めていた剣でスパッと切って、ミノタウロスは倒れた。ミノタウロスは消え、ツノっぽい形の白い石が落ちていた。


「連携、こんな感じなのかな?」

「もう、何体かやってみようぜ。」


 そのあと、平等になるように6つの素材を集めてからダンジョンを後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る