第18話

 家に帰るとお祝いが準備されていた。もちろん、アルとレオンも一緒だ。


「合格おめでとうー!」

「ありがとう!!」


 ご馳走とケーキが並んでいて、頑張ってよかったなと思った。ご飯を食べながら、試験の感想を口々に言い合った。食べ終わるとお母さんが書斎から紙袋を取り出した。一つをおじさんに渡す。


「はい。リア、テン。お父さんとお母さんからよ。」


 お母さんから小さな箱を渡される。


「ありがとう!」


 アルとレオンもおじさんからもらっていた。


「ありがとう。」

 とアル

「僕までもらえません。」

 とレオン

「いいじゃないか。子どもは遠慮しちゃいけないよ。」

「でも…」

「もらっとけよ。お祝いなんだし。」

「……ありがとうございます。」

 と言ったレオンの顔はとても嬉しそうだった。


 テンが机の上に登り覗き込む中、箱を開けると中には耳飾りが入っていた。小指の爪の半分ぐらいの透明な宝石が二つづずつ付いている。


「綺麗。」


 私とテンのがピンクと水色。アルが無色と水色。レオンが黒と無色だった。1人1人お母さんにつけてもらう。魔法で取れないようにしてもらうためだ。


「似合う?」

「似合うわよー。」

「えへへ」


 テンもつけてもらっている。魔道具なのでついているかわからない重さなので安心だ。大きくなったり小さくなったりして取れないか確認している。


「きゃん」

 

 テンはレンに近づき、見て見て、と言い、レンが良かったね。と言いながらテンの顔を舐めている。




 食後は明日からのダンジョンに持っていくものの準備だ。準備をしようと思ったら、私とアルは小さな黒いリュックを渡された。

「これ何?」

「魔道具のリュックよ。レオンごめんね。これは前から用意してたものだから二人の分しかないの。」

「いえ、そんな気にしないでください。」

「おじさんのおさがりでよければ、これ使ってくれないかな?」

 とアルのおじさんが渡す。

「そんな、悪いです。」

「遠慮はなしなし。」

 押し切られているが嬉しそうだからいいだろう。

 私たちはリュックに入っているものを広げる。中身を確認しなければいけないからだ。


 まず私の装備品だ。

 ・茶色と白の長袖のハイネックワンピースと黒いレギンス

 レンとテンの毛で織られたもので、お父さんが作ってくれた伝統的な魔物つかいの装備である。使い魔が持つ属性を無効化してくれるという代物だ。雷と風に加え、水系が私には効かなくなっている。テンが薄い茶色と白と少しの黒、レンが白と黒の毛なのだ。ちなみにお母さんの魔法が加えられているので大人になっても使えるそうだ。


「お父さん、黒い毛だけ分けて作ってくれたの?」

「そっちの方が可愛いってお母さんが言うからな。」

「かわいい!ありがとう、お父さん!」

「いいえ。」


 お父さんが私の頭を撫でてくれた。


 ・赤い革の胸当て、赤い革の小手、赤い革の脛あて、赤い革の腰巻、鉄の額あて

 魔道具でお母さんが作ってくれたものだ。見かけよりとても丈夫だそうだ。


 ・魔法使い用の杖

 私の場合、いざとなれば剣も使うので、仕込み杖になっている。


 ・赤とピンクの宝石が着いたベルトとチョーカー

 火の属性が弱点になっていると気付いたお母さんが作ってくれたようだ。


「こんなにいつの間に作ったの??」

「実はずっと前から用意してたの。夏休みに冒険者資格取ってもらってダンジョン巡りの旅行に行こうと思って。アルの分も。」

「そうなんだ。ありがとう!」

「毎日、無事に帰ってきてね。」

「うん!」


 次にテンの装備品だ。


 ・胸当て、胴当て、チョーカー

 レンの毛をベースに革を編み込んだお母さん作成の魔道具だ。

 ・ネイルプロテクター

 爪を保護するものらしい。



「父さん、ちょっと過保護過ぎない?」

 アルが照れくさそうにおじさんに言っている。

「そうか?リアよりは控えめにしたんだがなあ。」

「え、リアのもっとなの?リア、見せて」

「ん。アルのも見せて。」


 私たちは見せあいっこすることにした。


 アルの装備品

 ・黒のハイネックの長袖のアンダーシャツ

 ・黒い長ズボン

 これは既製品


 ・革のベルト

 わたしと同じもののようだ。


 ・鈍い銀色の薄い鎧、肘の半分まである小手、脛あて、額あて

 お母さん作成の魔道具だからずっと使えるらしい。


 ・剣


「リアのすげえ。おじさんとおばさんの愛が重い。」

「あら?何、可愛くないこと言ってるの?アルのも似たようなものよ。」

「えー。」

「だって、もっとすごいダンジョンに旅行に行こうと思って用意しだんだもの。」

「どこ行こうと思ったの?」

「ドラゴンいるとこ。」

「こわっ。」

 あははとアルとお母さんが笑っている。


「レオンも開けてみないのか?」

 おじさんが言った。

「え?」

「ほら、開けてみなさい。急だったからあまり揃えれなかったが少しはあるんだよ。」

「ありがとうございます。」

「見せて見せて」

 私もアルもレオンの方に寄っていく。


 レオンの装備品

 ・黒のハイネックの長袖のアンダーシャツ

 ・黒い長ズボン

 これはアルのと同じだ。


 ・革のベルト

 わたしと同じもののようだ。


 ・革の胴当て、鉄の小手、脛あて、

 これは既製品のようだ。


「こんなに・・・ありがとうざいます。」

「いいんだよ。」


「さあ、着て見せてちょうだい。記念撮影しましょう。」


 そして、夜も更けていった。

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