第15話

 朝、いつも通り学校へ向かう。今日はレオンが私の家から出発だが。


「「おはよう」」「きゃん」「ウォン」

「おはよう」


 よかった。いつも通りのアルだ。

 しばらく歩くとユラとマヤにあった。


「「「おはよう」」」「きゃん」「ウォン」

「「おはよう」」

「あのさ、君たち二人にお願いがあるんだけど・・・」

「なに?」「どうしたの?」

「昨日の話の結果、もうそんなには危険じゃなくなったんだ。でも、ダンジョンに入ってレベル上げしておいた方がこれからも安全なんだ。一緒に行ってくれないか?」

「今更。行くつもりだよ。」「そうだよ。遠慮しないで」

 マヤ、ユラの順で答える。

「ありがとう」


 よかった。私もそういうと思っていたけど一安心だ。


「じゃあ、試験は明後日でいいかな?」

「え!?」「なに言ってるの?」

「ギリギリでも受かっちゃえば、うちの親かアルのお父さんの誰かが一緒に行くからそっちのがいいってお母さんが言うんだ。どう?」

「うーん。じゃあいっか。受けよう。ユラもいい?」

「もー仕方ないな。受けるよ。」


 じゃあ善は急げと、学校についてすぐ職員室に申し込みに行く。

 アルが代表して話してくれる。

「失礼します。冒険者資格の試験を明日に受けたいのですが・・・」

「おう、誰が受けるんだ。」

 一学年上の大きな男の先生だ。

「この5人です。」

「全員入ってこい。申込用紙を書くんだ。」


 名前、年齢、スキル、親の資格の有無、私の場合は使い魔の名前、使い魔の試験希望の有無を書く。


「あら?あなたたち冒険者クラブ入ったばっかりじゃなかった?」

 別の女の先生に聞かれる。


「そうなのか?」

「はい。」

「合格後に大人の冒険者の資格保持者の付き添いが必要となるぞ?」

「俺とリアの親が冒険者の資格を持っているので交代で付き添ってくれます。」

「そうなのか。ならいい。書けたか?」


 男の先生が書類を確認する。


「リア、」

「はい。」

「君はこれも書いて。」

「はい。」


 使い魔用の申込用紙だ。

 名前、年齢、種族、ん?種族?


「テン、種族は?」


 テンに聞くと、テンが鞄から出てきて、距離を置く。そして


「きゃん」

 バチっと電流がでた。

「きゃん」

 フワっと風が吹く。

「きゃん」


「雷風狼?」

「きゃん!」

「え!?犬系じゃなかったの?」

「きゃん!」

「見た目ポメラニアンなのに?」

「きゃん・・・」

「ごめんごめん。怒らないで。」


 静電気も消えたテンが鞄に戻る。

 続き続き、幼体の場合の親の免許の有無・・・


「あの、親は遠くにいるんですけど、」

「え、幼体なのにか?」

「はい。」

「それなのに、君の親の使い魔がその子の親じゃないのか?」

「違います。でもすごく仲はいいです。」

「うーん。その使い魔はどこに?家か?」

「あ、どうだろう。呼びますか?」

「呼べるのか?」

「はい。」


 私は肩からかけているウェストポーチの内ポケットからレンの爪の先でできた笛を取り出す。

 ピィィィ


「ウォン」


 3秒ぐらいで開いている窓からレンが飛び込んできた。

 職員室の中が騒然となる。


「レン、先生が用事だって。」

「ウォン?」

「え?通じるのか?」


 男の先生は3歩ぐらい下がってしまっていたが、近づいてきた。


「はい。どうぞ。」

「あ、えっと、この子の親が遠くにいると聞いたんだが、あなたが親代わりでいいのかな?」

「ウォン」

 とレンがうなづく。はいと言っている。

「え、っと、何て?」

「はい。だそうです。」

「オッケ。あと、冒険者の免許はあるか?」

「ウォン」

「はい。だそうです。」

「わかった。ここにサインしてもらえるかな?」

「ウォン」

「え!?」


 レンが吠えると書類にレンという文字が浮かび上がった。え、何それ。


「「おお。」」

「テンもできるの?」

「きゃうー」

「なんて?」

「まだできないんだって。」

 魔物つかいの里の祠に行かないといけないらしい。


「今度行こうね。」

「きゃん!」


「よし!これで書類は終わりだ。ご苦労様。」

「ありがとうございます」

「きゃん」「ウォン」


 私たちは教室へ、レンは家へ帰って行った。

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