第14話

 コンコン

「レオン、ご飯だよ。」


「ありがとう。」


 レオンがお母さんの書斎から顔を出した。

 今日はレオンはうちに泊まるのだ。


 台所に戻るとさっき用意したテンのご飯を持つ、お父さんはレンのご飯だ。


「テンご飯だよ」「レンご飯だよ」

「きゃん!」


 今日もテンは一目散に駆けつけ、レンは優雅に歩いてくる。

 テンの頭を撫でてから食卓につく。


「いただきます。」

「リア、リアも夏休み、魔法使いの里に行くでしょ?」

「うん。わたし空間魔法の祠と時空魔法の祠に行きたいんだ。」

「まずは空間魔法からね。」

「うん。」


 以前行った時は知らなかったが、祠はダンジョンの一つだ。祠に入って奥にある魔法陣に乗ると固有魔法を手に入れられる。空間魔法があると、重い荷物を持たなくてすむのが一番嬉しい。私たちの住んでいる街には、転移陣のあるダンジョンがあるが、祠は何のかわからない古ぼけたものしかない。だから、そんなによその街の人がこないのだ。


「それで、リアたちはいつの試験を受けるの?」

「どうしよう。レオンたちはもう学科大丈夫らしいから、私たち次第なんだ。」

「学科はどれくらいできてるの?」

「学科はギリギリ合格ぐらいかな?」

「じゃあ受けちゃいなさいよ。今週末に試験あるでしょ?」

「え、そんな急に?それ明後日だよ?」

「大丈夫。受かれば私たち3人が交代で付き添うんだから。」

「そっか。明日、二人にも言ってみる。」


 私は部屋に戻ろうとして、ふと思い出した。


「あ、レオンの話ってどこまでしていいの?」

「うーん。レオンはどう思う?」

「あ・・・とりあえず安全そうだけど、ダンジョンでレベル上げておいた方が安全だから協力してほしい。と明日僕から話すよ。僕に関わったこともあってちょっとは危ないかもしれないし。」

「そっか。わかった。言いにくかったら代わりに言うから言ってね。」

「うん。大丈夫だよ。ありがとう。」

「いいえ。おやすみなさい。」

「「「おやすみ」」」



 夜中、トイレに行きたくて目が覚めた。訓練場の方から何か物音がする。そっと外をのぞくと、誰かが訓練している。

 ペロン

「っ」

 レンに手を舐められた。レンの頭の上にはテンが寝ている。

 テンが寝ぼけて歩いていたので連れてきてくれたそうだ。


「ありがとう」


 テンを受け取る。そおっと訓練場が見えるところまで移動する。訓練していたのはアルだった。月明りに剣の刃が反射している。どうしたんだろ?寝れないのかな。

 スリッパを履いて近づいた。


「アル、どうしたの?寝れない?」

「リア・・・何もないよ。眠れなかったから体動かしてたんだ。」

「そっか。あ、お母さんが明後日に試験受けたら、って言うんだけどどう?」

「俺はいつでも行けるよ。」

「じゃあ明日申し込みに行こう。」

「うん。」

「「・・・・・・・」」

「じゃあ、もう寝るね。おやすみ」

「おう、また明日。おやすみ」


 アルも家の方に向かっていく、寝るようだ。私はテンを抱え、レンの背中を撫でながら部屋へ向かった。




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