第13話
アルがきた。おじさんも一緒だ。
「じゃあお話ししましょうか。」
レオンのお母さんは王さまの娘、お姫さまだったそうだ。そのお姫さまは今の領主さまのお兄さんー本当は領主になるはずだった人ーと結婚して、子どもを産んだ。それがレオンだ。
レオンが生まれたころ、領主さまのお兄さんはダンジョンに潜って行方不明になった。お姫さまは、悲しみのあまり病気になってしまったそうだ。それでも、レオンのためにお姫様は今の領主さまと再婚した。領主さまもお兄さんの子ども守るために元々の婚約を破棄してお姫さまと結婚した。
でも、しばらくしてお姫さまが亡くなり、今の奥さんと結婚したそうだ。
これは今の領主さまが領主になる前のことなので領主さま周辺の人しか知らない。
しかし、それを知ってる今の領主さまの奥さんの弟はそれがずっと納得いかなかったそうだ。だからレオンのことを誘拐させた。子どもなのでダンジョンにでも放り込めば帰ってこれないだろうと。
「え?奥さまは知らないの?」
「あの人は当時婚約中だった今の領主の背中を押した人で、権力に興味ない人だし。」
「でもレオンはその人のせいと思ってるんだよね?」
「そうなの。どうしてそうなったのか不思議だわ。」
アルは難しい顔をして黙っているし、わたしは不思議に思ったことを尋ねた。
「領主さまと何を話したの?」
「レオンが病気だと聞いているが本当かと。とてもびっくりしていてすぐに領地に帰る手続きをしていたわ。」
「今の領主はあまり領主としての能力がないからな。」
お父さんが言った。
「優しい人ではあるんだけどね。元々領主になるつもりもなかったし、大好きな奥さまと暮らせればいいって思ってたはずの人だから。」
領主さまなんて遠くのお城に住んでるし、性格なんて全然知らなかった。
「領主さまにレオンがここにいること言ったの?」
「無事なことだけは伝えたわ。2人に言えることはこれぐらいよ。」
「わかった。」
「リア、あなたには出来るだけ自由にさせてあげるつもりだったし、今もそれは変わらない。でも、ごめんなさいね。お母さんの仕事の関係であなたにも危険があるかもしれないの。だから…」
「うん。冒険者の免許取ってレベル上げるよ!」
「ありがとう。」
お母さんはわたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
「アル、いろいろ思うことはあると思うけど、あなたはリアよりも強いわ。夏休みになったら一緒に魔法使いの里に行きましょう。」
「え?」
「あなたのお母さんは魔法使いよ。だから魔法使いのスキルも手に入れられるかもしれない。リアという成功例もあるしね。」
アルは亡くなったお母さんが魔法使いとは知らなかったみたいだ。
そういえばアルからアルのお母さんについて聞いたことないな。
「母さんって魔法使いなの?俺、母さんのこと全然知らないや。」
「そろそろウィリアムが話してくれると思うわ。何かあったら私に話しにきなさい。」
と言って、お母さんはアルを抱きしめた。
「うん。」
そうして、アルたちは帰って行った。
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