第11話 

 それから、私たちはいつも5人で行動をするようになった。私たち3人が学科の勉強をしているときは、アルとレオンの二人は剣の打ち合いをしたり、体力づくりをしたりしてて、たまに教えてくれたりもする。


「そろそろ、おばさん帰ってくるじゃないのか?」

 勉強の合間に私がレンにもたれながら、レンとテンにおやつを上げていると、アルが言った。

「そうだね。今日かな?」

 私が日にちを数えていると、


「ただいまー」

 お母さんの声がした。

「きゃん」


 テンが走って迎えに行った。レンものそっと起きてお迎えしに行った。私も行く。


「お母さん、おかえり。」

「おじゃましてます。」


 みんなも挨拶に来た。


「あら、お揃いで。お土産あるよ。食べる?」

「うん。」


 全員で居間に移動する。テンがわたしの肩に飛び乗り肩からかけたウェストポーチに滑り込む。


「いただきます。」


 レオナルドだけ口をつけていない。


「レオン、どうしたの?」


 レオナルドは真剣な目をしてお母さんを見つめた。


「お久しぶりです。師匠」


「うん。久しぶり。やっぱり元気だったね。よかった。」

「え???」

「知り合い?」


 みんなが二人を見比べている。わたしも、ビックリだ。


「僕の昔の家庭教師の一人です。」


「え!?お母さんがしてた偉い人の家庭教師ってレオンの?」

「そうだよ。昔ね。」

「聞いてないよ。」



「レオナルド、大変だったね。領主様とは、王都で会った時にお話したよ。込み入った話だからあとで話そう。」

「はい。」


 沈黙が痛い。


「あ、じゃあ私たち帰るよ。」

「そうだね。お話してください。」


 マヤとユラが気を使ってくれた。


「ごめん。ありがとう。」


 レオンが悪そうにしている。


「気にしないで。また明日。」

 マヤが淡々という。

「そうそう。私たちパーティだよ。」

 ユラも言う。

「うん。また明日。」

「ばいばい」

「明日なー。」


 2人を送り出した私たちは居間に行く。

 あれ?私話聞いてていいのかな?

 

「レオン、一人で大丈夫か?」

「うん。」

「リア、行くぞ。試合しようぜ。」

「う、うん。」

アルが、いつもより硬い顔をしている。


 訓練場に行く。アルに木刀を投げられた。

「ルールは?ハンデつけてよ。」


 私は、テンの入ったウェストポーチを下ろし、レンの首にかけた。テンは顔を出して眺めている。


「俺は左手は使わない。どっちかが剣を落とすか降参したら終わり。」

「右手にしてよ。」

「だめ。右手だと、お前さぼるじゃん。」

「私、中遠距離型なのに。」

「俺なんか支援型だぞ。」

「剣士のふりしてるじゃん。」

「擬態しないといけないからなっ!」

 っとアルが切り込んでくる。

「ちょっと!急に始めるのやめてよ。」

「本気でやれよ?」

「わかったよ。」


 私は本気を出す。本気を出してもアルの片手と同じぐらいだ。

 アルの突きは早く、気を抜くと打撲じゃ済まなさそうだ。私は必死で受け切り返す。

 それからしばらくは無心で打ち合ったが、最後はアルに木刀をはじかれてしまった。


「はあはあはあ」

「はあ、はあ、」

 言葉も出ない。


 私は倒れこんだ。と思ったら、レンに受け止められた。あーふかふかだ。


「お前、ずりぃ」


 アルは地面に膝をついている。でも、さっきより表情が柔らかい。よかった。


「魔物、つかいの、特権、です。」

「お前の、使い魔、鞄の、中の方・・・だろ。」

「レンは、第2の、お母さん、だもん。」

「ウォン」


 レンが嬉しそうに舐めてくれる。私はレンの上によじ登った。テンも鞄からすり抜けて登ってくる。


「レン、家の中まで連れて行って。水飲みたい。」

 レンがはいはいって、連れて行ってくれる。


「くそお。俺も魔物つかいになりてぇ。」


 アルがフラフラになりながらついてきた。



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