第8話

 次の日、朝食の時にお父さんに相談してみた。


「冒険者の免許を取るのってどう思う?」

「いいんじゃないか。お父さんもお母さんも待ってるよ。」

「そうなんだ。使える?」

「ああ。お母さんなんて王都に行く時はダンジョンの転移陣使ってるぐらいだよ。」

「そんな簡単に行けるの?」

「お母さんぐらいレベルを上げればね。」

「レベル?スキルレベルのこと?」

「あれ?まだ習ってないのかい?」

「スキルレベルしか知らないよ。」

「スキルレベルとレベルは別物だよ。スキルレベルはスキルの熟練度を表すんだけど、レベルはモンスターを倒すと上がるんだ。」

「モンスター?」

「モンスターはダンジョンにいる奴らのことだよ。」

「モンスターを倒さなかったらどうなるの?」

「ダンジョンが広がっちゃうんだよ。だから、ダンジョンに入ってモンスターを倒す冒険者がいるんだ。」

「そうなんだ。わかった!」

「ちなみにこれ試験に出るよ」

「え!今日教本もらってくるからもう一回教えて!」

「いいよ。さぁ、朝ごはん食べて出発しないと遅刻するよ。」

 


 テンのご飯を渡された。それをふやかしてテンにわたす。

 また小走りで来て喜んで食べていた。


「テン!行くよ!お父さん、レンいってきます。」

 

 自分の部屋に鞄を取りに行こうと思ったら、レンが持ってきてくれていた。お母さんみたいだ。


「レン!ありがとう!」

 

 もふもふの首元に抱きつく。いってらっしゃいというように、優しく押された。


「行ってくるね。」「きゃん」

 

 レンは優しく尻尾を振っている。

 テンと並んで出発した。


 家を出ると、またアルが待っていた。

「アルおはよう。どうしたの?」

「いや、ちょっと顔を見に。」

「ふーん。変なの。」

「別にいいだろ。」

「うん、いいけど。」

「じゃあ、夜行くからな。」

 そしてアルは走っていった。

 家の中以外で会うと素っ気ないのはなんでなのかな?


「おはよう」

「リア、今日もアルくんと来たの?」

 ユラが問い詰めてくる。

「うん。今夜の話だと思うよ。」

 アルはいい子だけど、そんなに気にする存在かなー?


 放課後になり、冒険者クラブの登録に行った。治癒魔法クラブをどうするかと聞かれたので、冒険者クラブのない日は参加することにした。この間のようにいつ必要になるかわからないからしね。


 今日は冒険者クラブの1日目だ。アルもいた。

 免許を取るには実技と学科で合格しないといけないらしい。

 学科では、今朝お父さんに教えてもらったことを細かく教えてくれる。

 冒険者にもランクがあるんだって。AからFまであって、Dまでいけば、転移陣のところまで行ってもいいらしい。でも1人で行く人はほとんどいないそうだ。あれ?お母さん?

 テンも机の上で聞いている。魔物つかいのパートナーの魔物も免許を取れるって聞いて、尻尾を振っていた。え、免許欲しいの?


「ただいま」

「おかえり」

 お父さんの声が奥から聞こえる。レンが出てきた。


「レン冒険者クラブ疲れたよー!」

 

 テンもレンの毛皮にくっついて甘えている。もちろんわたしも首元に抱きつく。

 くるんといつもの仕草で上に乗せられ、ついでにテンもぽいって投げられ乗せられる。

 レンから見たら私たちは子どものようだ。


「お父さん、アルとアルのお父さんが後で来って。」

 レンの上から言う。

「わかった。ご飯どうするんだ?」

「え、聞いてない。聞いてこようか?」

「よろしく。」

 



 わたしはレンに乗ったまま、アルの家に向かう。アルの家とは訓練場がつながっている。気持ちばかりの垣根があるがレンは軽々と飛び越える。あ、テンが落ちた。でも気にしてないのかすぐにジャンプして乗っていた。


「アル、おじさん、お父さんが晩御飯どうする?って」

「あー、一緒に食うって言ってくれるか。」

「はーい。」

「いや、待って。もう今から一緒に行くことにする。アル、レオン連れてこい。」

「はい。」

 

 アルが返事してレオンを迎えに行く。


「先に戻っといてもらえるか?」

「うん。わかった。」


 わたしはまた垣根を飛び越えて戻った。テンはまた落ちたけど楽しそうだった。

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