第2話

 昼休み、いつものようにユラとマヤと3人でお弁当を食べる。バックの中からテンが欲しそうにしているので、きゅうりを分けてあげる。嬉しそうに食べるテンが可愛い。



 午前中は、基礎科目。午後は訓練だ。それぞれの一族に分かれて行う。

 魔法使い一族はたくさんいるので賑やかだが、魔物つかい一族は1人なので、教本を読みながらテンと2人で進めていく。

 といっても、お父さんが休みごとに一緒に訓練してくれるのでほとんどその復習だ。


 今日は的に向かって魔法を当てる訓練だ。テンは雷と風の属性を持っているので、その魔法の訓練をする。

 普通の魔物は一属性らしいので、テンは変わっているらしい。この間はうちにいるレンにお願いして水属性の練習をしていたし。

 魔物の属性が増やせるというのは、伝説じゃなかったの!?とお母さんが興奮していた。


 そもそも机の上でくつろいだり、お母さんのコーヒーを勝手に飲む時点で大分変な犬、あ、違う、魔物だ。


 わたしもついでにと、魔法を的に放つ。

 わたしはお母さんの実験により、魔物つかいの洗礼のあと、魔法つかいの洗礼も受けた。

 2つの洗礼を受け入れることができるのかという、実験だったが成功したようだ。

 ちなみにそのあと、お母さんも魔物つかいの洗礼を受けていたが、失敗していた。何でだろう。




 今日の放課後はクラブ活動だ。週に3回、1時間だけ好きなスキルを学べたり、スポーツをしたりする。専門学校選びも兼ねているのだ。


 わたしは、回復魔法クラブを選んでいる。進路が決まっていない子と医療専門学校に行く子は決まってここだ。

 動物でも植物でも原理は一緒だ。傷が治るように願いながら、魔力を注ぐのだ。

 程度の差はあるけれど、応急手当てはできるようになる。わたしたち3人の中で1番才能があるのはマヤだ。もし大怪我をしたらマヤにしてもらおうと密かに思っている。


 テンがカバンの中からジッとマヤの練習を見ている。

 まさか、回復魔法まで覚えようとしているんじゃないよね?変な子だから、ありえると思った。


 学校が終わった

「じゃあ、今日も裏山に集合ね。」

「うん!あとでねー」

「またあとでー。」




 門を開けたところでテンが飛び降りる。今日はお父さんが早番の日なので、レンがいるのだ。


「ただいまー!」

「おかえり」


 お母さんが出迎えてくれる。お母さんの契約獣である犬のぽぽも一緒だ。契約獣は魔物ではないらしい。あまり詳しく知らないが。

 ぽぽの歓迎を受けたあと、荷物を部屋に置く。

 おやつを食べたら、裏山へ出発だ。


「テン!行くよ!」

「きゃん!」


 レンにじゃれついていたテンをよぶ。ちなみにレンは犬科の魔物でハスキー犬によく似ている。水魔法を操る。

 レンも見送りに来てくれた。


「レン!行ってくるね。」

「ウォン」


 大きな舌でペロリと舐めてくれる。いってらっしゃいと言っているのがわかった。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る