魔物つかいリア、愛犬(使い魔)とダンジョンを巡る
みお
魔物つかいリア、ダンジョンを目指す
第1話
わたしは魔物つかい一族のリアだ。11歳だ。今日は母に魔道具を渡された。
「お母さん、これ何?」
「これはリアの体験している出来事を記録にする魔道具だよ。お風呂とかトイレでは自動でオフになるから安心して。」
母は文化研究家だ。母の研究で、この町の子どもの暮らしを研究するそうだ。
わたしは魔法使い一族の母と、魔物つかい一族の父との間に生まれた。この魔法使いや魔物つかいというのはスキルといい、職業ではない。一族の人が洗礼を受けてスキルを得るのだ。
昔は、一族ごとに集まって住んでいたそうだが、現代はバラバラに住んでいる。そして、一族の里に帰り洗礼をうけるのだ。
私は8歳の時に、魔物つかいの父から、父みたいに魔物つかいになるか、母みたいに魔法使いになるかと問われ、魔物つかいを選んだ。父の相棒のレンがとても好きだったからだ。
魔物つかいは、洗礼を受けると、使い魔村に行き、パートナーを探しに行く。私が出会ったのはテンだ。
普通パートナーとなる魔物はどんなに小さくても5歳ぐらいからなのだが、私はまだ赤ちゃんのテンを選び、テンも私を選んだ。
洗礼を受けてもパートナーのいない人もいるので、 魔法が使え始める5年後に迎えに行こうと思ったのだが、テンは私から離れなかったので連れて帰った。
テンはまだ幼犬だ。大きくなれる時間が短く、体力もないので私が肩から斜めにかけたウェストポーチのカバンの中にいることもある。
ふわふわの体をした犬科の魔物だが、見た目はポメラニアンと変わらない。違いは大きくなれること、ジャンプ力があること、魔法が使えることぐらいだ。
「リア、中級専門学校どこにするか決めたの?」
魔道具の調整をしている母に聞かれる。
「どうしよう・・・」
「別に急がなくていいよ。決まらなかったら標準学校に行けばいいわ。」
「うん・・・」
私ぐらいの年齢になると、みんな将来のことを考え始める。職業を決めるのだ。職業を学ぶために中級専門学校に行く。
例えば、家が農家の子は農業専門学校に行き、お針子になりたい子は服飾専門学校に行く。
私みたいに何も決まっていない子は中級標準学校という満遍なく学べる学校に行く。私はきっとそこに行くだろう。
「リア!学校に行く時間よ。」
ぼーっと考えていたら、お母さんがおしえてくれた。もう行く時間だ。
「テン!行くよ!」
「きゃん!」
食堂の机の上でくつろいでいたテンが飛び降りてついてくる。
今日は学校までは歩くみたいだ。
「おはよう。」
「「おはよう」」
ピンクブラウンの巻き毛で杖を持っているのがユラ、黒髪ボブで手に指出しグローブをはめているのがマヤだ。
ユラは魔法使い一族だが、ユラの家は農家。マヤは格闘家の一族で、お父さんもお母さんも警備隊で働いている。
「テンもおはよう。」
マヤは犬好きなのでテンに毎朝挨拶している。
「きゃん」
ふわふわの尻尾を振りながらテンも答えた。
「中級学校どうするか決めた?」
ユラが言う。
「わたしは多分、標準かな。」
「わたしも。将来何になろうかなんて決められないよー。騎士専門学校も考えたんだけど、剣も弓もあまり得意じゃないし。ユラは?」
「農業か標準かな。でもわたし家継がないし、農家のお嫁さんもなりたくない。やっぱ標準かな。」
そう。わたしたちは数少ない標準学校組なのだ。
「標準ってわたしたち3人ぐらいかな?」
「アルも標準って聞いたよ。」
「え!?アルくん騎士専門学校じゃないの?」
アルはわたしの隣の家の男の子だ。親同士の仲が良いので接点が多い。ユラは実はアルのこと好きなんじゃないかと思う。
「うん。騎士にはあまりなりたくないみたいだよ。」
「剣士一族なのに…」
実は剣士一族じゃないのと、冒険家になるとか言ってたけど、それは言わない方がいいのかな。
学校が見えてきた。
「テン」
テンを呼んで斜めにかけているウェストポーチを開くとテンがピョンっと中に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます