第2話 入園する前の、小さい頃
ボクが2歳の頃、幼稚園に入る前はおうちでママと遊んでた。
絵本を読んだりおもちゃで遊んだり、公園を散歩したり。せがめばいつでも抱っこしてくれたし、ずっと一緒にいてくれた。
でも、暑くなってきたある日、ママはおうちに帰ってこなくなった。
代わりにじいちゃんとばあちゃんが来た。ママは病院っていう所にいるらしい。
ボクはパパと、ママに会いに病院に行くけど、ママは一緒におうちに帰ってくれない。とっても寂しい。でも、じいちゃんとばあちゃんがいるから我慢したんだ。
ママがいない2週間、ボクは“保育所”ってところに行ってた。お友達は少ししかいないし、小さいお友達だけだから、まあまあ楽しく遊べたよ。
ある日じいちゃんが迎えに来て、おうちに帰って来たら、ママがいた。
ボクはびっくりした!とっても嬉しかった。
びっくりしすぎて、泣いちゃった。
でね、久しぶりに抱っこしてもらえたんだよ。
でも、おうちに帰ってきたママは全然元気がなくて、ずっとお布団で寝てる。
「遊ぼう」って言っても遊んでくれないし、抱っこも全然してくれなくなった。
*
とっても寒くなって雪も降ってきた。暑かった頃よりママは元気になってたけど、相変わらず抱っこをしてくれない。
ボクはずっとママとくっついていたいのに。
ママは、ボクが“幼稚園”ていうところに行く準備をしている。
幼稚園て、バスに乗って行くところだ。
この前行った保育所とは違うらしい。
ママがバックとかいろいろ作ってくれてるし、ちょっとドキドキするけど、行くのが楽しみだ。
そしたらある日、ママがお腹痛いって言って、パパとまたあの病院に行ったんだ。夜だったからボクは寝てたんだけど、起こされて一緒に行った。
パパは「ばあちゃんもじいちゃんも電話に出てくれないから」って言ってた。
ボクは眠かったけど、ママが心配だし、お菓子もいっぱいもらったから、頑張って起きてた。
そしたら看護師さんたちがすごく慌てた様子でパパに何か書いてって紙を持ってくる。パパも慌てた感じで何か書いてる。
看護師さんとパパが話してる事はボクには分からないけど、パパはボクに「ママが大変なんだ。危ないんだ。」って言った。
ボクはなんとなくコワくなったけど、バタバタした感じが終わったら、違う看護師さんが来てたまに遊んでくれたから、ボクはちょっと楽しかった。でもまたちょっとヒマになった。
そしたらもう少しして、また看護師さん達がガラガラと何か運んでボクたちの前を通っていこうとした。
ボクたちの前に来たとき止まってくれて、パパはガラガラの中を見てる。
パパはボクにも見せてくれだだけど、よくわからない。
何か動いてる?
パパに「何これ?」って聞くと、パパは「おとうとだよ」って言った。
おとうとって何だろう?
とっても小さい赤ちゃんだった。
見たことないシワシワの赤ちゃん。
そしてまた、ママは何日もおうちに帰ってこなかった。ボクはとっても寂しかった。
でもしばらくしたら、ママがおうちに帰ってきた。ボクは嬉しかったけど、ママはまだお腹が痛そうだった。病院に行く前とあんまり変わらないかも。
それから毎日、ママは病院へ行く。その間、ボクはじいちゃんかばあちゃんと一緒にいる。
じいちゃんもばあちゃんも大好きだけど、本当はボクも、ママと一緒にお出かけしたいんだ。でもママはボクを連れてったらダメなんだって言ってた。だからまたちゃんと我慢したよ。
そんな日が結構いっぱい続いてたんだけど、パパとママが二人でお出かけした日、ママは何か大事そうに抱えて帰ってきた。
赤ちゃんだった。
また「おとうとだよ」って言われたけど、この前見た赤ちゃんと同じかな?違うのかな?おとうとって何だろう?そしてこの赤ちゃんはいつまでうちにいるんだろう?
赤ちゃんを連れてきた日から、ママはずっと赤ちゃんと一緒にいる。全然ボクと遊んでくれないし、ママはイライラしてる。赤ちゃんはいつも大きな声で泣く。
赤ちゃんはずっと抱っこするのに、ボクには全然してくれない。
ボクが何かしたらすぐ怒るし、ママがいつものママじゃなくなっちゃった。一緒にいるのに全然楽しくない。
ボクはママに「この赤ちゃん、早く病院に返してきて」って言ったら、またすごく怒られた。
ワケ分かんない。
ボクが寂しいのもあるけど、ママが困ってるかと思って言ったのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます