第35話 美弦と甘奈さんの面会
俺は以前美弦が従姉妹であり義姉でもある甘奈さんに会わせて欲しいと訴えてきていたため、2人を会わせることにした。
「はっくんの義姉の甘奈でーす、よろしく〜!」
「…は、はい、よろしくお願いしますわ」
「もう第一声で分かっただろ美弦、俺と甘奈さんが前美弦が言ってたような関係だと思うか?」
「…いえ!まだわかりませんわ!」
「全く…」
本当に甘奈さんには申し訳ないが…確かに甘奈さんは美人だ。
多少生活がずぼらであることを覗けば才色兼備だと評されてもおかしくない。
だが重ね重ね…本当に申し訳ないが性格が家族や友達としては本当に良いんだが、恋人やそれに近い関係となると話は変わってくる。
俺はもっと品性があって寛容力や包容力を感じる相手が良い、そうだな例えるなら美弦みたいな…
「…ん?」
俺今何て…?
「どうしたんですの?白斗さん」
「…なんでもない」
思考が乱されるところだった…
「美弦ちゃん、はっくんから色々聞いてるよ〜」
「え、どのようなことを聞いてるんですの!?全て教えて欲しいですわ!」
「そんな大したことじゃないけど、頭が良いとか運動が凄いとか、そうだ!はっくんが中学生の時なんかは美弦ちゃんが体は色々と成長したのに接し方が小学生の時と変わらなくて恥ずかしいとかって私に相談してきてたりもしてたなぁ」
「そ、そうなんですのっ!?」
「そ、それ!中学生って言っても中学1年生の5月とかだろ!中学1年と3年とじゃ天と地ほどの差があるからそこははっきりしてくれ!」
「そんなに大事〜?」
「大事だ」
最悪な暴露をされてしまった…これからは甘奈さんに何か話をするときや相談をする際はお金を払ってでも口止めしないとな。
「そう…なんですの、白斗さんが私を女性として…」
美弦は何故か嬉しそうにしている。
「白斗さんのお家でのお可愛いお話等はありませんの?」
「え〜、はっくんの可愛い話は高くつくよ〜?」
「言い値で買い取りますわ」
「じゃあ10億え〜ん!なんて─────」
「10億でいいんですの?現金では今持ち合わせてないので数日待っていただくか、口座を教えていただければ本日中に送りますわ」
「ちょっ、甘奈さん!美弦の生まれは前に言っただろ!それが冗談じゃなくて実行できる家庭なんだって!」
「そ、そうだった…!冗談冗談!タダで教えてあげるから!」
「そうなんですの?白斗さんのお話が聞けるのであればいくらでもお支払いしますのに」
美弦はそれを真面目なトーンで言う。
…本当に世界が違うということを何百回目かわからないが改めて認識する。
「そうだね〜、はっくんの可愛いエピソードか〜、はっくんってお料理全然できないんだよね〜、ケチャップとマヨネーズ間違えたり、卵とこしょう間違えたり」
「そうなんですの、お可愛いですわね…!」
「ちょっと待て!確かにひょんなことでケチャップとマヨネーズを間違えたことがあることは認めるが卵とこしょうに関しては間違えたことなんてない!」
「あれ、そうだっけ〜?まぁいっか〜」
「良くないだろ!」
ダメだ、この2人…最初はタイプが違うから全く話も合わないだろうなと思っていたがもし2人きりで話させたりしたら俺のありもしない捏造された過去が美弦に伝わってしまう。
「他には─────」
その後も間違ったところを修正しつつ、それでもなんだかんだ3人で楽しく会話を弾ませた。
「─────パッと思いつくのはこのくらいかな〜」
「どれも白斗さんの面影を感じてお可愛かったですわ、いっそのこと本当して出せば数兆円は下らないですわね」
「そうかな?え〜、私はっくんの過去っていう本書いちゃおっかな〜!」
「えぇ、きっと売れるはずですわ、買わない国民の方がいればその方は就職を追われることとしましょう」
「頼むからやめてくれ…あとそれは売れるんじゃなくて無理矢理買わせてるだけだろ」
みんなが俺の過去を知ってる国なんて最悪すぎる、絶対に居心地が悪い。
「そうですわ!そういえば来週の7月入りに小さな船でパーティがあるんですわ、甘奈さんもいかがですか?私のお客ということでもちろん料金なんていただきませんわ」
「本当っ!?行く行く!」
どうやら2人はパーティに行くようだ、楽しそうだが俺は遠慮しておこう。
俺には合わない、甘奈さんならドレスなんかも上手く着こなせるだろう。
「はっくん!いつ行く?」
「俺も行くのか!?」
「当たり前!」
「行かない!」
「あ、すみません、白斗さんはもう行くことが決定していますわ…名簿登録してしまっています」
「えぇ…」
そんな絶対お金持ちが主催するようなパーティ俺には合わない…いやでも小さい船って言ってたし、そういう堅苦しいやつではないんだろうか。
それなら十分楽しめそうだ。
…ん?美弦が甘奈さんに耳打ちをしている。
「…甘奈さん、白斗さんには聞かれたくないので小声で聞きますが、本当に白斗さんには恋愛感情は無いんですわよね?」
「え?ないない!弟みたいなもんだしね〜、あ、前言ってたような関係っていうそういうこと?そんなわけないよ〜」
「…私、次のパーティ時に本格的に白斗さんと恋仲になろうと思っているんですの、手伝っていただけますか?」
「え、面白そう!もちろん!」
「何を話してるんだ…?」
「別に〜?女の子同士の秘密〜」
「秘密ですわ!」
…なんだか嫌な予感しかしないがともかく、俺たちは来週その小さな船で行われるというパーティに行くことになった。
だが、小さな船というのはあくまでも美弦の尺度で、俺たちにとっては…
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