第10話 まどかちゃん
まどかは舞に懐いた。英語の課題を教わった放課後から、なにかとまどかは舞を気にかけて「かわいい〜」と褒めちぎる。
「小さい感じとか警戒してるとことか、ハムスターみたいだよねー」
そこがかわいい、と絶賛する。そう言われて嬉しいかといわれれば、そうでもない。複雑な気持ちだ。背が低いのはコンプレックスだし、まどかを警戒しているのも人見知りゆえだ。
自分の中でマイナスの評価を下していることが、かわいいといわれると面はゆい気持ちになる。
「お昼。あすちゃんとのお昼ぐらいは守ってみせる……」
舞は固く決心していた。まどかが舞をつけまわすので、あまり明日香と一緒にいられないのだ。
とりあえず、まどかを撒こう。そう決めた。授業が終わったらすぐに家庭科準備室にかけこもう。そしてあすちゃんに匿ってもらおう。
「ね、お昼一緒に食べよ? 舞さん、いっつもすぐどっか行っちゃうからさー」
急いで誘わなきゃ! と可愛い顔でまどかは舞に告げる。
「あはは……。うれしいなぁ……」
と乾いた笑いをもらす。こういう風に誘われるのは嬉しい。嬉しいけれど、慣れないことを強制されてしまうな、とも思う。まどかは優しいし、気遣ってくれる。
そんな風に思ってしまうのが、嫌だなとおもう。
まどかの裏表のない感じとか底抜けに明るいところとか舞を全肯定しそうな感じとか常にどこか居心地が悪いのだ。
「わたし、性格悪いなぁ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます