第23話 問いただしてみていいだろうか

餃子を死ぬほど食べた後、なぜか母と朋也とすみれはレイトショーを見に行った。阿須賀も一緒に行くか家に帰るかすればいいのに、うちのリビングで9時のニュースを見ている。たしかに、この展開は想定の範囲内に入れておくべきだった。そう、この場合、


なぜ私は母たちと一緒に映画館に行かなかったのだ!

痛恨のミス!!


ちきしょう、もう寝てやる。しかも自然に。

私寝るから、と話しかけることさえ何かのきっかけになりそうで恐ろしい。もう何も言わずにおなかがいっぱいでこのソファから動けない、という感じで寝たふりしてやる。ほんとに眠くなってきたし。阿須賀むこうでまじめにテレビ見てるから、ほっといてやれ。帰りたくなったらそのうち帰るだろ。


あれから何時間経ったんだろうか。

映画館から親たちが帰ってきたっぽい。途中で父が合流したのか、野太い声がする。阿須賀まだいたんだ。朋也としゃべってる。ああ、もういろいろいつも通りすぎて、あれこれどぎまぎしている自分が情けないを通り越して、もうかわいそうだ。これを解決する方法はただ一つ。多分これしかない。言っちゃおうかな、家族全員揃ってるけど、言っちゃおうかな!


「その女と別れて私と結婚してくんない!?」


「ねえちゃん、阿須賀帰ったよ。」

「え!?」

「おねえちゃん、なんの夢見てたの~?」

「そ、それは、ユギョンとデートしてる夢よ。」


苦しい、言い訳が苦しすぎる。

朋也にいたっては、阿須賀に言ってるってことばれてるし。

両親に至っては、私と阿須賀はもう決まってる話で、その展開がどうこうということにすでに興味なし。


私と阿須賀が付き合っていないってことを知っているのは、本当に世界中で私たちだけなんだ。なんですかこれは。


そして、阿須賀が結婚しているという相手については、ひょんなところから知ることとなる。


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