第20話 浜守から、一言
軽いと思われているなら、作戦としては成功している。
高田萌は、一筋縄ではいかない。
25歳になって美大なんてマニアックなところに編入してきた割には
熱意に欠ける。
そんなに下手とも思わないけど、才能に溢れているようにも見えない。
いつも悩んでて、いつも迷ってて、割と上の空。
品があって美人。喋りもそつなく、いい感じでおしゃれ。
嫌な顔しているところは見たこともない。
歳が違うせいか、編入してきたせいか、
同級生に友人はいないようだが、それを気にしているでもない。
はて、この人ここに何しにきたのか。
それが第一印象。
おもしろい。
見てると興味をそそられる。
住んでるアパートは多分近いと思う。
使ってるコンビニが一緒だから。
しょっちゅう会うわけじゃないけど、
週末の2時半(夜中の方ね)くらいによく見かける。
なんか、お弁当買って、唐揚げとか買って、
のんびり帰っていく。
後から聞いたらバイト帰りだそうで、
賄い食べてもどうしても食べたくなるんだそうだ。
でも、
通学じゃ会わない。
1時間かけて歩いてくるって言うから、
そりゃ、電車通学の俺とは会わない。
酔狂な。
ダイエット?いや、太ってないし、
体力作りなのか?
これも後から聞いたら
散歩が趣味だそうで。
変な女。
こっちが20歳だから、
25歳の世界を色々知らないだけなのか?
そうじゃない。
俺の知ってる25歳の女の人は、
もっとわかりやすい。
謎とか、ない。
ミステリアスを気取ってる女はよくいるけど、
本当にミステリーな女には会ったことない。
高田萌に関しては、
全然わからない。
ミステリアスでもなんでもないけど、
よくわからない。
一番近い言葉だと、意味不明、か。
あれは、なんなんだろう。
よくわからないけど、近くにいると居心地がいい。
喋ってると癒される。
この人、俺の彼女にしよう。
そう決めて近づいて3ヶ月。
わかったことは、彼氏作る気全くなしってこと。
男嫌いって感じでもないし、
ものすごくめんどくさがりとか、
非社交的とかいうんでもない。
女の子がいいというのでもなさそうだし、
友人というスタンスなら全く拒まれない。
時折上の空になっている。
その理由がわかれば少しは意味もわかるんだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます