木下 くるみ
打ち上げを終えた俺たち4人はベロベロゆずるさんを運びながら、とりあえず公園のベンチに腰掛けた。そして休憩をと、人数分のコーヒーを自販機から買い一人でなんとか持って行った。
「おっ! コーヒー、しかも無糖とはあんたわかってんねー!」
「それは良かったです」
俺はくるみさんの方向にコーヒーを投げた。恐ろしいことに5人中3人が公園のベンチで爆睡をしていてた。
満点、いや合格点ぐらいの星空の下、俺とくるみさんは会話の糸口が見つけられず無言で見つめあっていた。
「あっ、そう言えばなんでヤンキーなんて相手できたんですか? あの人手合わせしたけど結構強かったっすよ」
「あー、私、実はね人間と吸血鬼とミイラのハーフなんだ……」
「何処からツッコんだらいいんすか」
「秘密だぞっ!」
「で? 本当のところは?」
「実は私親から格闘技学ばされてて、護身術は心得てるんですよ」
「そうなんですね」
「はい、小さい時に色々あってね」
長い長い、会話が長い。七連続セリフきました。
「色々って?」
「父がすごく怖くて、いつも包帯巻いてるんですよ」
「親がミイラの設定もういいから」
「私いつも親に暴力振ってたの」
「逆だろ。いや逆でもないけど」
「そしたら強くなったよね」
「強くなる余地なかったが」
缶コーヒーを飲み干したくるみさんはこう言った。
「強くなろうとして強くなるより、相手を倒そうとして強くなる方が成長は早いんだよ」
「名言ですけど、くるみさんお父さん倒そうとしてたんですか?」
「父と母の夜のプロレスごっこは母の方が強かったらしいからな。吸血鬼の母に近づきたかったんだよ」
「夜のプロレスごっこって完全にアウトでしょ」
俺たちは体力を回復させた後大きな壁に直面した。そう終電はもう終わっていたのだ。そして、今の説明が本当ならくるみさんに人間の血は流れていないことになる。お前の血は何色だ?
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