サバイバルゲーム開幕
「ちょっと、喧嘩しないでくださいよ」
「こうなったらジャンケンで勝負よ!」
俺の仲裁も注意も聞かず強引に突破しようとしたのは、桜だった。バガだろ。何だよジャンケンって、ジャンケンで何が決まるんだよ。
「いいわよ! 後悔しないでね!」
「え? はっ? ちょっと……」
大学生のゆずるさんはもうお酒を飲める年だからだろう、しっかり酔っていた。ダメだ。まともな奴が俺しかいない。
「さーいしょーはぐーっ! じゃぁーんけぇーん! ぽいっ!」
そこに広げられたのは4人の手、2つはパー、もう一つはチョキ、そしてグーが1人だった。
「あーいこーで…………」
「ちょーいちょいちょいちょいちょい、何で4人?」
「あんたは黙って見てろ!」
俺は何故かくるみさんに怒られた。あの、なんか二人多くね?
「気を取り直して、じゃーんけーんほい!」
そこには白熱した試合としか言わざるおえない空気感が漂っていたが、手は全てパーだった。
「あーいこーでしょっ!」
「ヤッタァ!」
「この私が負けただとぉ!」
「よしっ!」
「形くんへの愛が足りないのだよ」
負けたのはくるみさん。いやこのジャンケンの解説いらねぇだろ。誰が負けたか分かりにくいし。
「最初はグゥッだあああぁぁぁぁ!」
「じゃぁぁぁぁぁぁああんけぇえぇぇぇえんぽおおおぉぉぉぉぉいい!」
そこにはグーが二つとパーが2つ出ていた。
「あんた負けたんじゃねぇのかよ」
「みんなが負けと認めても、ルール上でも負けていたとしても、私が負けたと認めなければ負けてないっ!」
「は?」
「そうよ! 勝負はまだ終わってない!」
その後何分だろうか……終わらないジャンケンがやっと幕を閉じた、俺のエスカルゴはもうもぬけの殻(エスカルゴだけに)になり、桜のミラノ風ドリアは冷めていた。
「あんた達中々やるわね……」
「あなたも中々やるじゃない、見直したは、でも影杉くんは譲らないわよ」
「ババァの勝ち誇った姿は絵になるわね」
「あんたみたいな小娘には渡さないわよ」
結局、2人とも、いや、俺を含めた全員がふらふらになりながら店を出た。ちなみになんとお金を払ったのは俺だ。
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