初デート

 真夏も真夏、太陽は沈むことを知らず、年々地球温暖化により暑さにブーストをかけている。


 そんな中、ショッピングモールの近くのにあるカフェでデートの待ち合わせをしているのが、デートから1番かけ離れていた影杉と言う男だ。


 現在の時刻は11時40分。小学生はお腹が空き始め、中学生は4時間目が終わるのを楽しみにしている。高校生はどの店でお昼をすますか駄弁り、大人は昼休憩までのラストスパートをかけ始めることだろう。


 デート待ち合わせ時間は12時ちょうど。データによくある、「待った?」「全然?」

みたいな会話をするためだけに早くきすぎてしまった。


 まだバイトを始めたてすぐなので、金は親から巻き上げた。どんな服を着ていけばお洒落になるか親に聞くと色々察したらしく3枚の野口秀雄と2枚の福沢諭吉をゲットすることに成功した。これで焼肉行こうかな。


 重みのある財布とスマホ、それ以外に何を持っていけば良いかわからないので、しおりが欲しかった。


「あ!いたいた!」


 こっちに手を振りながら向かってくるのはバイトの先輩ゆずるさん。


 黒いカーディガンから見え隠れする白いTシャツ、したは少し緑がかった暗めのスカート。

いつもは下ろしている髪の毛が今日はお団子になりまとまっている。太陽の光に照らされ光沢のある髪の毛はまさに神の毛だ。これをお洒落と言うのだろう。


「ごめん!待った?」


「待ってました!」


 あっミスった。そう言うことじゃ無いんだよ。そのセリフを待ってただけなんだ。


「ごめんごめん」


 普通に謝られると困る。だって集合時間5分前なのだから。てか良いな。可愛い可愛い。

つい頬が緩みちぎれて落ちる。そして俺も恋に落ちる。そして受験に落ちるのだ。俺のデートはまだ始まって3分だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る