モテ期?
「桜さんも言ってたじゃないか。友達って」
この返しが正解だとは思わないから、少し声を小さくする。
「ふぅーん。ちなみに、親友じゃないの?」
「親友ではない」
つい素で答えてしまったが間違いではないだろう。今日であって四日目だ。流石に親友と言うのには早すぎる。
「なんでそんなにニコニコしてんだよ」
「だってぇー、まだなんとかなりそうじゃん!」
「何がだよー」
「鈍感だな〜。まぁ私は形君に魅力を感じてるってことっ!」
上目遣いをマスターした桜さんは、なぜか少し年下に見えた。もちろん女耐性ゼロな俺は、顔をタコのように変色させ、タコだのチキンだの言われるレベルにビビった。
「こっ、告白と受け取っても良いのかな?」
なかなかの声の裏返り具合だ。これならインコとの会話も試みることができそうだ。
「んなわけないでしょ、人としてってこと」
「よかった、お前は俺を人として見てくれるんだな」
「そりゃそうでしょ!逆に何にみてる人がいるのよ」
「どこぞやのどいつは俺を飴だと思ってなめやがる」
「まぁ、私も形君のこと舐めてるけどね」
「意味が違ぇ」
「え?!形君舐められたことあるの!」
ここまで行って自覚した。俺は大きな誤解を招く発言をしたことを。確かにそうだ。ちょっとジョークとして起きたことを言ってみたが、それを知らない人からしたらただの下ネタなのだ。舐めるって……。
「あっ、やっ、そう言うことじゃ無いんだけど」
色々パニクっている。今の頭の中を表すのなら、新しく買った自由帳に何を書こうか悩んでる間に休み時間が終わるみたいな感じだ。そう、ぼっちにしかわからない。
「えっ、嘘、嘘だ!嘘嘘嘘!」
「ちょっと待って、デートでショッピングって何したら良いか教えてくれー」
誤解を解こうとしたが、誤解は解けない。誤った解はもう出てるのだから。そして俺はそれからの3日間桜さんと話すことなくデート当日を迎えたのだった。
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