これは脈アリ?
「ちょっと!顔あざだらけじゃない!」
ジャム女にオーバーリアクションで心配されたと書きたいが,正直鼻血も出てるし片目は見えないし、もう散々だ。
「割といいダメージもらったぜ」
裏から救急箱を持ったゆずるさんがやってくる。
「ごめんね。私のミスで、本当な大丈夫?って大丈夫じゃないか」
そう言いながらティッシュで鼻血を抑えてくれた。大盤振る舞いだ。これなら守った価値もあるってもんだ。もっとしていいんだよ?うん。プリーズプリーズ。
「あ,大丈夫ですよ。自分でやりますし」
「これぐらいさせて」
俺の唇にゆずるさんは人差し指を押し付ける。急に顔が真っ赤になる。大丈夫、これはケガだ、断じてゆずるさんに惚れたわけでわない。よな?
その後は俺は休ませてもらい、申し訳ないが2人で店を回してもらった。そして閉店後。
「すいませんね、俺が勝手なことしたせいで」
「何言ってるの、私を守ってくれたんだよ!キュンってしちゃった!」
これはポイントゲットでは?何回か殴られるだけでゆずるさんのポイントがゲットできるなら何度でも殴られよう。叩かれてポイントゲット!
3人で、皿洗いや掃除など、店閉めをしているとジャムが話しかけてきた。そらゃ、ちょっと期待する。自分でも自覚するぐらいカッコよかったのだから。
「なーに、ゆずる先輩に顔真っ赤にしてるのよ?」
「は?」
予想外の言葉にしっかり驚く。ゆずるさんは物置で明日の準備をしているところだ。俺もジャム女も手を止める。時間が止まったなような錯覚に陥るが、その時間はすぐ動き出す。
「は?じゃないわよ。顔真っ赤にしてたじゃない!」
「い、いや,あれはケガだよ、赤く腫れてただけだろ」
「2人ーサボらないよー」
「「すいませーん」」
声を合わせる。秋の虫の合唱のように、でもそれは、俺に春を呼ぶ合図だったようだ。
「形君!今日この後ちょっと時間ある?」
俺の心臓はこのダメージに耐えることができるのだろうか。
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