帰り道
「ありがとうございましたー」
適温だったカフェのドアを開け外に出ると生暖かい空気が自分を優しく包み込む。そして直ぐまさそれは暑い、と言う感覚に変わり、疲れと暑さで体がぐっとだるくなる。
「ちょっとまてぇい!えぃえぃえぃえぃ!」
後ろから不気味な妖怪が追いかけてきたので全力で逃げる。それはもう棒お正月番組、「逃○中」レベルに。だが流石、50メートル8.4なだけある。直ぐに追いつかれた。いや、8.4は遅すぎん?
「なんで逃げるのよ」
「そりゃ後ろから化け物が来たら逃げるでしょ。で?何?」
「誰が化け物よ。化け物クラスの美人でしょ?」
「化け物みたいな美人の間違いだろ」
まあ、化け物みたいな美人が存在するのかは知らんが。人の服についたジャムを買うやつなら知ってるんだが。もう、新種の動物だろ。
「てかそんなことどうでもいいの。連絡先教えてちょうだい」
「え?やだけど?」
「ゆずるさんのが欲しいって言ってるの」
「喜んでお願いします」
そそくさとカバンからスマホを取り出す。んで持ってQRコードを読み取った。こんな簡単にヒロインと連絡先を交換するラブコメは滅多にない。
「あんた意外と異性のライン多いわね」
「意外とってなんだよ。俺はモテるぞ?」
「見る目ないわね」
なんて笑顔で言うもんだから少しむかついた。でもなぜだろう。夕日をバックに見る彼女はゆずるさん顔負けの美しさがどこかにあった。
「じゃあ、また明日か」
「いや、私も家こっちだからもうちょっと一緒だね」
嘘だろおい、俺カッコつけて夕日をバックにとか言っちゃったよ?もう終わるのかと思ったじゃん。いや確かに、700文字前後で終わらせるのに500文字だからおかしいとは思ったけどそれはなしじゃん。
なんて考えながら、俺の左には顔だけはいいジャム女がいる。俺のヒロインはこいつなんだと、認めざる追えないほどに、その景色はやけに輝いて見えていた。
よーし!これで八百文字!
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