再会
二学期と同時に俺は始めたことがある。バイトだ。高校生で部活をしていない俺は放課後は時間を持て余す。それはもう石油王のように。漫画を読んだり、ゲームをしたり。
別にそれでもいいんだが、お金が欲しくなったのだ。特に理由はない。ただ、遊びに行く日に毎日高校生にもなって親にお金をたかるのは、少し気が引けたからだ。
そして俺が働く店がこれ!
「by to day 弾む」
ローマ字読みで「バイト代弾む」だ。なんと言う率直な店名。俺でなくても見逃さないね。
「よろしくお願いします!」
元気満々の挨拶をしたが、まず来たのは注意だった。
「君、バイト初めてだよね。バイトの時は裏口から入ってねー」
「あっ、すいません」
「咲ー!この子に色々教えてあげてー!」
この人がこのカフェの店長、ゆづるさんだ。
そしてゆずるさんに呼ばれて裏から出てきたのが、ジャムおばさんだった。え?いや、再会雑すぎない?俺でなくても見逃さないね。
「お前!ジャムの!」
「えっ!ジャムの!」
見事にジャムがジャムった。
「咲って言うんですね」
「お前に名乗る名はない」
「別に名乗られてねぇよ」
「おぉー知り合いいたのか、それは良かった」
さっきも何処かで聞いたようなセリフだ。セリフの安売りだな。ほら、お母さん、バーゲンセールですよ。
「えっと、まず客が来ると席に案内する。基本常連さんだから自分の好きな席に座りに行くから大丈夫。その後は注文を取る。出来るだけ威圧感出さずにね。それで一通りは終わり、まずはこれに慣れて」
「はい、わかりました」
割と真面目なんだろうか?今日の朝とは雰囲気がまた少し違う。いや全然違うなこれ。同じなのはテンションだけだった。ハイテンションッ!
カラン、カラン
お?初客だ。咲さんが俺を見る。えーっと確か常連さんは自分で席に行くんだったよな。今はどの席も空いているし大丈夫だろう。
「あのっ?えーと?これって自由席ですか?」
「「常連さんじゃ無いのかよ!!!!」」
これが俺の初客で初ミスの客になった。バイトすらも頭おかしいのかこのラブコメは。
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