王雅と茶々……④

「くっ……!」

「さすがに私には勝てないようね。真葵。」

私は剣の先を真葵の首元に出した。真葵に苦戦することなく私の圧勝だった。だが問題はどうやって王妃の体から真葵を追い出すかだ。大概は鬼の舞で浄化することができるが、真葵と王妃様の執念という感情が強く結びついてしまっていて簡単には浄化できない。

「はやく私を殺せ!!」

「……できないわよ……」

真葵はもう魂だけの存在。だけど……

「真葵を殺すには……真葵の血を受けた人を全員殺さねばならな。」

と紅雅様は眉を下げて言った。そうなると……

「ざっと100人以上の人を殺す必要がありますね。」

と杏樹殿は指で数えながら言った。だけどもう1つの問題が……

「俺も……死ぬの……?」

と飛雅殿はカタカタと震えながら言った。飛雅殿の言う通り飛雅殿も殺さなくてはならない。だけどまだ若いのに殺すなんて……この子に罪は無い。

「ははうえー」

となにも分からない茶々は目をぱちぱちして私を見る。もし殺してしまうとみんな悲しむし、戦争が起きてしまうかもしれない。だから……

「おい!菫。まさか……」

「そうよ。薫……あの方法しかない。」

「嫌だ!!俺は菫を……失いたくない……」

「ごめんね……」

「嫌よ!!菫!!」

「みんな……ごめんなさい。」

私に残された選択肢、それは私の魔法で真葵の呪いに鍵をかけることだった。しかしあまりにも人が多いので私の命と引き換えに……

「ごめんね。茶々。」

「ははうえ?よちよち」

と私は茶々を強く抱きしめる。すると王雅様と晴臣も寄ってきて

「菫殿……すまない……」

「菫殿……逝かないで……」












私は最後の鬼の舞を踊った。









「菫!!」

「薫……茶々をお願いね……」




私は目を瞑り夜の空へ消えた。

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