王雅と茶々……②

「お前!王子という資格あるのか!?」

「そなたより俺のほうが年上だ。言葉を考えろ。」

「……っ!」

俺たちの城の応接室で騒ぎが起きた。

人間の王子飛雅殿が俺に口喧嘩を吹っ掛けてきて俺が余裕勝ちしたのが気にくわなかったのだろう。人間と鬼は別々に暮らすべきか、そうじゃないかという大人がきめるようなことで話をしていた。こいつは本当にうつけだ。だけどやることにはまっすぐだ。そこは認める。

「それよりお前好きなやつのことどうなんだよ?」

飛雅殿が聞いてきた。こいつは俺に好きな人がいるのを知っているが茶々だということを知らない。

「!……まだ幼いからあっちはお兄ちゃんしか思ってないだろう。」

「だよなー。俺も。」

ここだけは気が合うんだよなー。俺たち。

「俺の母さんとお前たち鬼を嫌っている。今のところ害はなさそうだが、大丈夫か?」

「あぁ。今お前の母親は呪いの研究してるんだろう?勝手にやってくれてもいいんだが、巷のうわさは消してくれないと困る。」

「すまぬ。俺も最大限頑張っているのだが母上が新たに手をだすから……」

「そなたがさっき言ってた鬼と人を別々に暮らすという意見は母親の意見を呑むということになるぞ?もともとそなたが別々に暮らさせようとしたのはそなたの母上が近々内戦を呪いで操った鬼たちを外にだしてやる予定なんだろ?」

「!!あぁ……。いつ親父がまた操られるかわからない。」

「俺のほうでもできることはしておく。そなたは引き続き王妃の呪いの実験を少しでも遅らせてくれ。」

「うむ。全力で取り組むとしよう。」

「それともう一つ。お前はなんの能力を持っている?」

この世界は王族に生まれると特別な力を持てる。ちなみに俺はすべての剣を扱うことができる。俺の父上はすべての元素を操ることができる。俺の母上は動物と話すことができる。

「俺はおそらく火を操る能力だろう。でも最近なぜかこの能力が勝手に使われている気がする……。まるで誰かに操られているみたいだ……」

「そなた、もう少しこの城で検査を受けてくれ。なぜそなたがうまく力を操られないのか。」

飛雅殿は力は申し分ないし、調整するのもできるはずなのだがなぜか時々暴走することがある。

「分かっている。」

「飛雅様。検査をするのでご同行願います。」

「あぁ。じゃあまたな。」

「おう。」

晴臣が飛雅殿を呼びに来た。そのまま二人は俺の元を去った。





なぜだろう……胸騒ぎがする。

風に吹かれた十年桜の花びらが遠くのどこかに飛ばされていった。
















「茶々~中に入るわよ~」

「ちちうえをまつの~」

「もう。」

茶々は薫の帰りを待っていた。最近忙しいみたいでなかなか家に帰ってこない。薄暗い影がこちらに歩いてきて私は茶々を抱えた。

「ははうえ~?」

するとそこには

「薫!弥禄!それに王雅様?紅雅殿に杏樹殿?」

「菫!無事か!」

「えぇ……」

いきなり薫が私を抱きしめ私の安否をした。みんな焦っている。一体なにがあったの?

「ちちうえ~おかえり~」

「よかった……茶々も無事かぁ……」

「王雅様。しばらく茶々のことお願いしてもいいですか?」

「あぁ。わかった。」

「おーが!!」

なにかあったのは予想がついた。

「大変なんだ。杏樹の力で動物たちが教えてくれたのだが、今人間の王妃が呪いの実験で少数の呪いをかけた人を国内に放った。菫。力を貸してくれぬか?」

「もちろんです。」

「あ!待って!」

私は勢いに任せて走った。私は秋の国の中央広場に向かい舞を踊った。

私の舞は浄化の合図として雪が降る。だんだんと雪が降り始め私は舞を踊り終わると呪われた人たちが戻った。

「よかった~」

「菫殿~!」

「お前足すんげぇ早いんだから……」

「さすがねぇ」

「心配したよ」

みんなで安堵してると紅雅殿が風を放った。するとそこには

「うぅ……助けて……」

「晴臣!!しっかりしろ!」

「はる!!ちっかりちて!!」

「晴臣。少し痛むが、我慢してくれ。」

紅雅殿が元素を合わせ晴臣の傷を治した。

「やはり邪魔だな……」
















「なぜですか。飛雅殿。それに王妃……いや真葵まき。」

「久しぶりねぇ。お姉さま。姿やっぱり鬼の国の最強戦士ね。」

そこには悪魔の顔をした妹がいた。



















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