6話~やっとみつけたのに……~
「この子もしかして……!」
宮本さんがそうつぶやきみんなが宮本さんのほうを向いた。
「どうした?秀一。」
「……秋の国の三大武士の一人榊 薫の娘じゃない?」
と織田さんが私の顔をのぞきこんで言った。
「そ、そうですけど……」
「実は薫殿が……」
桐崎様と剣豪に父上のいるところへ向かうとそこは王族専用の酒場だった。中に入ると……
「父上!」
「もう飲めねぇ~よ~」
「なにを言うのか!薫殿!まだまだ飲め!」
「あれ~俺の可愛い娘の茶々がここにいる~?」
「父上飲みすぎです!聞きましたよ!最近ずっとお酒を飲んでいるって!だから帰ってくるのが遅かったんですね!」
父上は桐崎様の父つまり鬼の国の王と一緒にお酒を飲んでいた。
「鬼の王よ。父が無礼を働き申し訳ございません。」
「いやいや。今回も君の父に助けてもらって作物がとれるようになった。毎回君の父に助けてもらってばかりじゃ。ありがとう。」
「い、いえ……。」
鬼の国の王だから偉そうな人なのかなと思っていたがとてもやさしく暖かい人だった。
「お主の舞とても綺麗だった。」
「ありがとうございます。」
「お主の母上もお主に負けないくらい綺麗に舞を舞っていたのじゃ。」
私は驚いた。まさか母のことを知っている人がいるとは思わなかった。
私はもっと聞きたいと思ったが
「王よ。茶々をそろそろ返してください。」
ぎゅっと私の手を握った桐崎様がいた。
「相変わらず茶々にべったりじゃの~」
「……茶々は俺のなんで」
相変わらずという言葉に私は引っ掛かりを感じた。
桐崎様は私の手をそのまま繋いだまま私たちは外に向かった。
「桐崎様?」
「あぁ、ごめん。」
俺は茶々と繋いだ手を離した。
「桐崎様。先ほど鬼の王が言ったことなのですが……」
茶々の言葉を遠くに感じる。
なんでだよ……。お前は俺を桐崎様って呼ばなかった。
王雅って言って笑ってくれよ。
俺のことだけを見ててくれよ。
やっとみつけたのに
離れても絶対忘れないって言ったのに
「桐崎様?」
なんで覚えてねぇんだよ……。
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