最終話 獄装合体 コンプリート
「おはようダーリン、良い朝だな♪」
「ああ、幸せだよ俺♪」
「私もだ、今日もクエストに挑もうぜ♪」
一緒に目覚める進太郎とアルカトラズ、チュートリアルをクリアした二人はいっぱしの所長と獄娘として戦っていた。
「俺達の手枷、でかいハートでデコレーションされてるな♪」
「ダーリンと私の好感度レベルが百を越えたからな♪」
「今は百五十か、二百を越えると越えるとどうなる?」
「それはな、とてもハッピーな事が起こるのさ♪」
進太郎とアルカトラズのマイルームから、ピキピキと鎖が千切れて行きそれまではロックされていた機能が解放されていった。
「俺達のマイルーム、まだ数日なのにハートでいっぱいだな♪」
「そりゃあ、毎日二人で愛が溢れることしてるからだろダーリン♪」
朝食にハート型の目玉焼きを食いつつ、笑い合う二人。
食事をして語り合うだけでも、互いの体からハート型のエネルギーが飛び散る。
進太郎とアルカトラズの家は、もはや全部ハートだらけであった。
「アル? 病院なんてできたんだな?」
「ヒュ~♪ 最高じゃねえかダーリン♪ あと少しだぜ♪」
「……な、何がだよ?」
「その時までのお楽しみさダーリン♪ さあ、今日も二人のラブラブ生活の為にカルマを狩ろうぜ♪」
獣の如く微笑むアルカトラズ、進太郎はその笑みさえも愛おしかった。
アルと進太郎はガレージに来ていた。
「ダーリン、その真っ黄色なロボット好きだな」
「まあ、男の子だからな♪」
ガレージに立つのは、デフォルメされたデザインのスーパーロボット。
胴体は沖縄のシーサーの頭を持つ全身黄色の人形ロボ、イエローシーサー。
進太郎がユニットガチャで引き当てた、SSRな一品であった。
「私の車と一緒か、それじゃあ今日はユニット戦だね♪」
「ああ、行こう♪」
ハグを交わすアルと進太郎、どこかでピロリンと好感度が上がる音が鳴った。
学校の教室で依頼を受けようとしていた進太郎の目に、彼ら以外の所長と獄娘のペアであるフレンドからの救援要請が表示された。
「レイドボス戦に行っている
「ああ、
夏の今は、スイカ型カルマを倒すイベント期間中。
二人は救援要請を受けてガレージに走ると、進太郎とアルカトラズはイエローシーサーに乗り込んだ。
「イエローシーサー、出るっ!」
進太郎が叫ぶとガレージの屋根が開き、カタパルトが生成されて二人が乗ったイエローシーサーが空へと打ち出された。
進太郎が前、アルカトラズが後ろの複座型コクピット。
「ダーリン、空飛ぶスイカ型カルマ発見! やっちまえ♪」
「そい来たっ♪ スキル発動、空中三段蹴りっ!」
進太郎が叫び左右のレバーを操作する。
コクピットの外では、二十mほどの大きさのイエローシーサーが倍以上はあるスイカ型メカのカルマを一匹、二匹、三匹と飛び蹴りで撃破して行った。
彼らの眼下には、傷つきながらも巨大なスイカ型のメカに対して刀を構える胴体が奉行所の真紅のスーパーロボットがいた。
「無事か、輪人君!」
「小伝馬、生きてるか?」
奉行所ロボ、ダイブギョーの隣に降り立ったイエローシーサーが通信を行う。
「すみません、ヘルプありがとうございます!」
「アルカトラズ殿、かたじけない!」
進太郎達のコクピットにスクリーンがポップし、元気系な美少年とポニーテールな武士娘美少女が挨拶をする。
「ヒャッハー♪ 私達に任せときな、
「ああ、まずはそっちに回復を飛ばすぞ!」
イエローシーサーの足からケーブルが飛び出し、ダイブギョーにエネルギーを送り回復させる。
ダイブギョーが回復すると、二体を狙ってボスの巨大スイカカルマが黑い質量弾を乱射して来た。
スイカの種のような弾幕を必死で回避する二体。
「ダーリン、
「初耳だが、頼む!」
「好感度百五十で解放される、私達のユニット戦用の合体スキルさ♪」
アルカトラズが、コクピット内でデジタルスクリーンを出して操作する。
イエローシーサーの背後にアルカトラズ刑務所を模した装甲が出現する。
そして、二本の監視塔をイエローシーサーの両腕にトンファーの如く合体させる。
「「完成、
コックピット内で進太郎とアルカトラズが同時に叫ぶ。
「マジかよ、俺もできるようにしねえと!」
「私達も帰ったら励みましょう、旦那様♪」
ダイブギョーから輪人と小伝馬の声が漏れる。
「行くぜダーリン、まずはプリズンビットだ!」
「射撃は任せたハニー♪」
進太郎が機体操作で距離を詰めて、アルカトラズが獄舎の形をしたビットを
発射して相手が召喚して来たトループを撃破して行く。
「近づいたねダーリン、ユーハブコントロール♪」
「アイハブコントロール! 近接は任せろ、タワートンファー正中三連突きっ!」
近接は進太郎のパート、レバーを操作すればアルカトラズシーサーが、巨大なスイカを突く、突く、突くっ!
それが決め手となったのか、巨大スイカ型カルマは、爆散したのであった。
「ヒャッハー♪ MVP,はいただきだぜ♪」
「ああ、これで俺達のこの機体もまた改造できるな♪」
「機体よりもさあ、私を構ってくれよダーリン♪」
「……ああ、わかった気合い入れて挑むぜ!」
そんな会話をしながら、アルカトラズシーサーで飛び去って行く二人。
「旦那様、私達もあのご夫婦に負けぬよう愛し合いましょう!」
「ああ、じゃあ帰ったら膝枕してくれよ小伝馬♪」
「はい、それ以上の事もいたしましょう♪」
助けられたダイブギョーも、パイロット達は仲良く帰還した。
「さて、ダーリン♪ 気力とスタミナは十分か?」
「ああ、回復薬は万全だ!」
「良いね♪ 覚悟しろよダーリン♪ 今夜は好感度二百達成イベントだ♪」
「ちょ! それってコンプリートって事か?」
「今からコンプリートするんだよ♪」
マイルームに帰って来た進太郎は、アルカトラズに押し倒された。
その後、二人のマイルームはハートで満たされ続けて時が流れた。
翌日、ベッドの上で一人で目覚めた進太郎の目にメッセージが表示される。
「あれ? アルがいない、病院に行きました? それに、次世代ユニットが誕生しましたってまさか?」
進太郎はマイルームを出るとポップアップされた、ハートマーク付きの病院へ行くと言う選択肢に従った。
テレポートで瞬時に病室に着く、病室のベッドにはアルがいた。
「おはようダーリン、私達のベイビーだ♪ ほ~ら、パパだぜ抱いてもらいな♪」
「いや、ほいっと渡してくるなよ!」
「獄娘と所長の子供は、超人生命体だからある程度は大丈夫だ♪」
病院のベッドの上、アルが白い産着にくるまり所長の看守帽を被った赤ちゃんを進太郎に差し出して見せた。
「ああ、ありがとうアル♪ この子が、俺達の子供か♪」
「帽子を被ってるって事は、将来は所長だな♪」
「もしかして、女の子なら獄娘になるのか?」
「イエス♪ 娘なら、小さなちびっこギャングになるぜ♪」
「楽しみやら、どんな相手が娘のパートナーになるやら心配だよハニー?」
赤ちゃんを受け取った進太郎。
自分の腕の中で眠る我が子の命を感じつつ、獄娘と所長の子は将来両親のどちらかになると知ったのであった。
「ダーリン、まだまだ沢山ベイビー作って育てようぜ♪」
「……ああ、野球チーム作るんだよな♪ これからクエストこなして、養育の資金も稼がなきゃ♪」
「任せときな♪ そうと決まれば、クエストをガンガンクリアしに行くぜ♪」
ベッドから立ち上がると入院着姿から、ギャング姿に戻るアルカトラズ。
「ちょ、アル! 俺達の子供が消えたっ!」
「自動的に保育所に転移したから問題ねえ♪ 行くぜダーリン、仕事に夫婦生活にハッスルしようぜ~♪」
「いや、ちょ! お前、超人すぎだろっ!」
アルに引きずれて行く進太郎、深く結ばれ子供もできた獄娘と所長のカップル。
戦略シミュレーションRPGな世界、カンパニアースでの彼らの戦いの暮らしは終わらない。
かんごくカンパニー♪ ムネミツ @yukinosita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます