第2話 チュートリアル戦闘
「……うう、朝日が眩しい」
外の雀の鳴き声で見知らぬ天井で目覚めた進太郎、彼の世界は一変していた。
「あれ? 何かステータス画面みたいなのが見える!」
部屋の中の白い天井や壁を見ると白い字で、マイルームと書かれた黒い吹き出しが表示された。
「ヤバイ! 俺はもうゲーム世界の住人になっちまったんだ!」
異世界の転移、アルとの出会いを思い出す。
すると、彼の目の前に気力とスタミナと言うパラメーターのゲージがホログラフのように現れた。
「……えっと、何か俺の気力が減ってる? 落ち込むと消費されるのか?」
取り敢えずアルことアルカトラズを探そうと裸の状態でベッドから降りる。
すると進太郎は自動的に、白い軍服に似た制服姿に着替えさせられていた。
「ヤバイ! 頭の中に、衣装チェンジって声が聞こえた!」
地球ではありえない現象、進太郎は異世界の住人になったんだと実感した。
自分の記憶を想い出そうとすると、錠前が掛かった物とかロックはされていないがアルカトラズとの思い出と言う物の一覧があった。
彼女との思い出の中に、ハートマーク付きのが追加されていたのはスルーした。
「クローゼットが二個あるのは、俺のとアルので本棚はアルバムが一冊か」
自室をざっと見してドアを開けると廊下に出た。
選択肢が視界にポップアップされ、キッチン&リビングや風呂にトイレなど出口などと道路標識のように行き先が出て来た。
「アルはキッチンにいるのか、じゃあ俺もそこへ行くか」
進太郎が呟くと、瞬間移動的に彼はリビングにある食卓の椅子に座っていた。
「グッモーニン、ダーリン♪ 今日の朝飯はシンプルにミルクとシリアルだ、私はジャパンの獄娘じゃねえからライスは買ってねえ」
裸ワイシャツなアルが冷蔵庫を開けて牛乳を取り出し、シリアルを入れた二個のボウルに牛乳を入れて食卓へ灯と持って来た。
「じゃあ、資金が手に入ったら一緒に買いに行こう♪」
「オーケー♪ ナイスな提案だぜダーリン♪」
良い笑顔を向けるアルカトラズ、歯はギザ歯だった。
「どうしたダーリン? 私の胸が恋しいのか♪」
「……ひ、否定はできない」
「お楽しみは夜にな♪ 私もダーリンとマイルームに戻りたいが、義務は果たさねえと駄目だ♪」
食事中、ボウルより大きなアルの胸に進太郎の目が向いていた。
アルはそれをごく自然に受け入れて会話をしていた。
食事を終えたら二人で洗い物と片付けをする、これはアナログだった。
その後は歯磨きや洗面を終えて、ギャング姿のアルと一緒に家を出る。
「さあダーリン、学校で授業だ♪」
「ああ、いろいろ学ばないとな」
二人で拠点内の学校に行き教室に入る。
二人が隣同士の机に座って待ていると、教師風のプリズナが入って来る。
そして授業として説明が始まった、序盤は概ねアルから聞いた事と同じだった。
追加の情報としてはカルマと言う総称の異次元からの敵がいる事と、所長も武装して戦場に出て戦うと言う事であった。
「ガレージにあった兵器類でダーリンも一緒に戦うんだよ、私の得物は銃だ♪」
「機関銃とか射ってそうな服装だしね」
「ああ、アル・カポネって著名囚人の因子があるからな♪」
獄娘には、銃・劍・弓・槍・格闘・特殊の六種の得意な武器がある事も教わる進太郎であった。
次の授業は、生身でのチュートリアル戦闘であった。
「えっと、装備洗濯はトレーニングブレードで防具はトレーニングスーツっと」
いくつかある武器から進太郎は剣型のトレーニングブレードを選んだ。
軍服から自動的に切り替わった、トレーニングスーツは白いボディアーマー付きの全身タイツみたいな物だった。
戦場は学校の校庭、五体の武装したプリズナ達に進太郎とアルカトラズが挑む。
「みせてやるぜ、
アルが
更に彼女の周囲を、ケープのようにぐるっと囲む装甲は二本の監視塔と四角い建物風とアルカトラズ島の新旧両方の刑務所を模した物だ。
「アメリカ獄娘アルカトラズ、お仕置きの時間だぜ♪」
チュートリアルだと言うのに、獣の如く獰猛な笑みを浮かべるアル。
「さあダーリン、戦闘の時間だ♪」
アルはいつ野間にか二丁拳銃ならぬ、二丁マシンガンを手に持って突撃した。
「おい、俺も行くぞ!」
突っ込んだアルを追い進太郎も移動する。
敵の一体はアルの銃撃に倒れ、真っ赤なペンキまみれで気を失っていた。
二体目はライフルを構えてアルを狙撃。だがこれはアルに届く前に彼女の前に展開された光の盾で防がれた。
「カウンタースキル発動、喰らいな♪」
アルが狙撃して来た敵に反撃し、ペンキまみれにした。
残る敵は白兵型、進太郎にはゲームのように敵のデータが表示されて見えていた。
「よし! 俺もスキル発動、ブレードバッシュ!」
進太郎が叫ぶと彼の体が光を放ち目の前の敵へと突進、大上段からブレードを振り下ろして敵をペンキまみれにして倒した。
「ナイスだダーリン♪ 次は、カウンタースキルを使え!」
一体目を初撃破した進太郎にアドバイスするアル。
次に進太郎に迫って来たのは、槍の敵で動きはこちらの方が早かった。
「やば、カウンタースキル発動! スライド&スラッシュ!」
自分の目に浮かんだスキル名を叫ぶ進太郎、すると体が自動で動き相手の槍の一撃を横に移動して避けながら剣道で言う胴を打ち敵を倒した。
「……まずいな、スキル二発でスタミナと気力が激減した」
スキルを二回発動したせいか、疲労に襲われてふらつく進太郎。
「初めてにしちゃあ上出来だよダーリン、後は任せな♪ 私の
スキルの名前を叫んだアルの装甲が変化する、ケープの如く覆っている獄舎型の装甲から銃身が出現し肩の日本の監視塔が倒れて塔の先端から方向が開く。
塔からのミサイルと、装甲の機銃と両手のマシンガン。
アルの持つすべての銃と砲から弾が放たれて、敵をオーバーキルした。
「ヒュ~♪ 私達の大勝利だ♪」
こうして、進太郎達は生身でのチュートリアル戦闘に勝利した。
昼休み、アルと進太郎は学校内の食堂に来ていた。
「学食は地球と変わらないな、落ち着く♪」
「神様が地球をパクって世界を創造したらしいぜ♪」
二人はチュートリアル戦闘のリザルトで得た資金で、それぞれバーガーランチと煮魚定食を手に入れた。
「なあダーリン? 飯はやっぱりライスじゃなきゃダメか?」
「そう言うわけじゃないけれど、習慣だよ」
「何か、私がジャパンの獄娘だったら良かったのかなってさ?」
「んな事はない、アルの金髪も胸も俺のストライクだよ」
「照れながら言うなよ、こっちも恥ずかしい」
「まあ、食って見ろよ♪」
「悪くはないな、じゃあこっちもトレードだ♪」
向かい合い食事をしながら思いを語らう二人、互いの減少したスタミナと気力が回復した。
「さあダーリン、今日のカリキュラムは終わりだ♪」
「いや、良いのかもっと何かやらなくて?」
「大丈夫、あの生身の戦闘が基本だから♪」
「お前なあ、まあそれなら買い物でも行こうか?」
「ヒュ~♪ 流石ダーリン、食材やら水着スキンやらゲットしに行こうぜ♪」
アルに手を引かれ、ガレージに向かった二人。
アルの装備であるピンクのオープンカーでサンシスコの市街へやって来た。
「デカいホームセンターだな、神様地球パクり過ぎだろ?」
「良いじゃないか♪ 暮らしに不自由しないんだから♪」
車を駐車場に止めた二人は、ホームセンターで米や牛肉にアルの星条旗ビキニの水着スキンや進太郎のアロハスキンを買って帰宅したのであった。
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