かんごくカンパニー♪

ムネミツ

第1話 君と繋がれる物語



 突如異世界に飛ばされた平凡な男子高校生の主人公、進太郎しんたろう


 空は青いが西部劇のような赤茶の岩山とサボテンと砂漠、そして何故かある道路。


 そんな場所に来てしまった進太郎へと近づいて来るのは、ピンクのオープンカー。 


 運転するドライバーの特徴は、長い金髪に宝石のような青い瞳に白い肌と爆乳。

 

 それは、進太郎の好みを全て盛り合わせたかのようなお姉さんであった。


 ただし、服装がギャングのボスのような黒スーツにソフト帽でなければ。


 オープンカーが止まり、ギャングなお姉さんが車から降りて彼に近づいて来る。

 

 「よう、少年♪ あんたが、私の所長だな♪ 違うとか言わせねえ♪」

 「……はい! 俺は進太郎って言います、宜しくお願いします!」

 「元気が良いな、気に入ったぜ♪ 私はアルカトラズ、アルって呼んでくれ♪」


 そう言って、アルカトラズは瞳を閉じて進太郎に優しく微笑む。


 「で、早速だがダーリン♪ 左手を出してくれ♪」

 「わかりました、はい♪」


 進太郎がアルに従い左手を出して見せる、すると虚空から鎖付きの手枷が出現しアルと進太郎の左手首に嵌まって消えた。


 「……え? ちょっと、これは一体?」


 突然の事態に驚く進太郎、だがアルはニヤリと獣の如く微笑みこう告げた。


 「ああ、これは終身刑結婚の儀式さ♪ ダーリンと私はこれで永遠に一緒♪」

 「ちょっと! それって俺は元の世界に帰れませんって奴ですか?」

 「イエス♪ ダーリンと私はここでずっと生きて行く、子供は沢山作ろうぜ♪」

 「ちょっと! 嬉しいけれど、これじゃない~~~っ!」


 進太郎は叫ぶも、アルは無視して彼をお姫様抱っこして車に乗る。

 

 車は走り出し、助手席に乗せられた進太郎はアルにより何処かへと連れていかれたのであった。


 「アルさん、ここはどんな場所で俺達は何処へ行くんですか?」


 荒野を抜けて海を横に車は道路を走る、異世界ではあるが地球に似ていた。


 「ここは異世界、カンパニアース♪ 向かうは私達の家であるサンシスコさ♪」


 そう言うと、車のスピードを加速させるアルことアルカトラズ。


 そしてビルが立ち並ぶアメリカっぽい街に入る、周囲の住民は男女同じで皆白と黒の囚人服模様の肌をした人の形をした異形の生命体ばかりであった。


 バーガー屋のドライブスルーに止まったアル、店員らしい囚人服生命体に懐から出した紙幣で支払いをすると進太郎に紙袋を手渡す。


 「気になるかい? こいつらはプリズナ、この世界の無害なパンピーさ♪」


 アルがオーバーな手振りをして笑う。


 「じゃあ、アルさんは何者ですか?」

 「ぶ~っ! アルか、ハニーって呼んでくれよ♪ じゃないと教えな~い♪」

 「アル、教えてくれよ! こうなったら、俺はこの世界もお前も知りたい!」

 「オウ♪ その感情の爆発力、熱くて良いよ♪ 私は獄娘ごくむすって、超人生命体だよあんたとこの世界を守る為に神が生んだ♪」

 「色々混ざり過ぎだよ!」

 「この世界の神は擬人化とクロスオーバーが好きみたいでさ、ダーリン達の世界のムショを調べて私らを生み出してダーリン達を引きずり込んだってわけ♪」

 「その神様、殴りてえ!」

 「ハッハッハ♪ 同感だけど、私とダーリンを結ばせてくれた事で帳消しで♪」

 「いや、相殺しきれねえよ? まあ、今は受け入れるけど次は勝つで」


 アルと会話をして、この世界の神を恨みながらも馴染んで来た進太郎。


 「まあ、家も仕事も嫁もあるんだkらハッピーで行こうぜ♪」

 「快適な家だとありがたいです」


 そしてバーガー屋を出た二人の車は、街を抜けて橋を渡り小さな島へ到着した。


 「ヘイ、ダーリン♪ ここが私達の脱獄不可能な愛の巣だ♪」

 「白くて高い壁、拠点も刑務所モチーフかよ神様!」

 「中は軍の基地も混ざってるぜ、オープンゲート♪」


 アルが頑丈な鉄の扉の前で叫ぶと扉は開き、車は中へと入って行った。


 中に入るとアルの言う通り軍事基地も混ざていて、戦車や戦闘機などの兵器を整備するプリズナやランニングなどの訓練に励むプリズナでいっぱいだった。


 格納庫らしい場所に車で入ると誘導係のプリズナが来たので、アルが誘導に従い進めて車を止めた。

 

 「さあダーリン、降りて♪ 見学ツアーの開始だ、ゴールは私達の家だぜ♪」

 「何か、戦車とか戦闘機とかロボットもあるの?」

 「まあ、この世界を攻めて来る敵がいるからね♪」

 「そう言う世界か、頑張って生き抜かないとな」

 「ああ、二人で生き抜いて行こうぜ♪ 子供は野球チーム分は欲しい♪」

 「……がんばります」


 車を降りた二人、アルによる見学ツアーと言うチュートリアルが始まった。


 「ガレージは、まあ乗り物や兵器の置き場だね」

 「あれはプリズナが使うの? 俺は指揮役?」

 「兵器は、ダーリン用とプリズナ用があるよ♪」

 「俺も戦闘ユニットになるのか、体とか鍛えなきゃ」

 「そうだねえ、そんなダーリンの為にあるのがはい学校♪」

 「マジで学校だ、小さいけれど」


 ガレージを出てからアルに案内されたのは拠点内にある小さな離島の小学校風の建物でやはり学校であった。


 「学校は、勉強や訓練に装備の開発だね♪ 売店や食堂もあるぜ♪」

 「明日からここが俺の新しい学校か、異世界に転校するとは思わなかった」

 「そして、もうゴールだよダーリン♪ ここが私達の家さ♪」


 赤い屋根に白壁の平屋、ここが進太郎の終の棲家となる家であった。

 

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