2#48 一人勝ち



どうしようもなく脳みそが腐ってる麻沙美。不慮の事故(不慮の事故)でヤバめの性癖が目覚めてしまった涼花。可愛い鈴木。


以上3名には穴を掘るようにと命じていた。


従うか否かは自由だとも言っていたが、どうやら3人共、素直に穴掘りをしていたようである。


それに少し関心はしたが、それはまた別の話で。


麻沙美はどうやら俺の部屋に盗聴器を仕掛けていたようで、昨晩のカズの出来事から今まで部屋で起きた事を全て聞いていたらしい。


リアタイフルタイムで全部聞いていたらしい。



「皐月きゅんが遂に手を出した!これならばついでのオマケ感覚で私の事も抱いてくれるはずだ!今が好機!仕掛けるッッッ!!!」



ってな具合で涼花と鈴木も引き連れ襲撃してきたということだ。


カズのアホは単純に忘れたスマホを取りに来たらしい。


それに対してまずは日替わり私刑の不可侵条約はどうしたとツッコミたい思いしかないのが聖歌ちゃんである。



「今日は私の担当日です!今日は誰も邪魔しないはずなのになんで皆さんココに居るんですか!」


「と言ってもな。破っても私の担当日すでに終わってるから関係ないしな」


「これ後半になればなるほど不利な条件ですよ白井先輩」


「担当日?なんだっけそれ?」


「すまねぇ……セーカ……すまねぇ……」



と、麻沙美、涼花、アホ、鈴木、可愛い。


鈴木を除くバカ共に反省の色はなく普通にクソヤローばかりであった。



「うぅうう……!!私はちゃんと我慢したのに!我慢したのに!皆さん最低です!クソヤロウですぅ!うわーん!皐月くーん!」


「あー……よしよし。ドンマイ聖歌ちゃん」


「ちょっと皐月!?彼女の前で別の女とイチャイチャしないでよっ!」


「油断も隙もないですね。流石白井先輩あざとい」


「皐月きゅーん!私も!私もなでなでパコパコしてくれ!」


「いいなぁ……」



そんな具合に場は混沌を極めていた。各々が自分の願望欲望妄想etcを元に行動し、ホント訳が分からない。


なんとか事態を収集しようと1人づつ事のあらましからなんやら話を聞く事にした。



聖歌ちゃんの話。



「私は胡散臭い女の人から催眠アプリを貰いまして、それでその……それを皐月くんに使いました……最初は皐月くんは誰が好きなんだろって、それが知りたかっただけでしたが、皐月くんは実は私の事を好きっだったっていうのを知りまして……それで皐月くんとえっちな事をしてしまいました……勝手な事をしてしまったという自覚はあります。反省もしています。でも今日こうして改めて皐月くんに抱いてもらえたのでやっぱり私は皐月くんの彼女だったんだなって思いました!」



彼女では無いとキッパリ否定したいところではあるが、ヤル事をヤッてしまっている以上かなり言いづらい。


そもそも前提からしておかしい。俺は聖歌ちゃんに友達以上の特別な感情を抱いていなかった。


なのに何故、催眠にかけられた俺は聖歌ちゃんを好きと言ったのか?


それに否定してはいるが、聖歌ちゃんは紛うことなき処女であった。しかし、聖歌ちゃんは既に俺と肉体関係を持っていたと言っている。


矛盾。


どういうことだ?


ずっと疑問だった。みんなそれぞれ言ってることがおかしい。


これ……もしかして催眠にかけられていたのは俺じゃなくて聖歌ちゃんだったんじゃないか?




涼花の話。



「私もだいたい白井先輩と同じ感じですね。胡散臭い女の人から催眠アプリをもらって、それを兄さんに使って、兄さんが私の事を性的な目で見ていたことを知って、それで兄さんとえっちして、彼女になりました。兄さんの彼女は私ですよ?それなのに兄さんは私の事を調教するだけ調教して本番は無しのお預け……しかも白井先輩にあろう事かカズさんにも寝盗られてますし……意味がわかりません。兄さんの彼女は私なのに……浮気です……兄さんの浮気者」



俺は特に涼花の事を義妹以上の存在としては見てない。まぁ大切な家族であることは間違いは無いが、一線を越えたいという思いは無い。


涼花も聖歌ちゃんと概ね同じ様な感じ。


やはりこれは俺ではなくて、他のみんなが催眠にかかっている線が濃厚になってくる。




麻沙美の話。



「私もそうだな。胡散臭い女……まぁ花園だな。奴から催眠アプリをもらって皐月きゅんとセックスした。それから今まで我慢していたものが爆発した。今はもうどうしたら皐月きゅんに抱いてもらえるかしか考えてない。実際のところだ。何がダメなんだろうか?私は胸は無いが驚きの美少女だぞ?その美少女にナニをしてもいいんだぞ?なんでも言うことを聞く従順なメス犬だぞ?好きな時に好きなだけ性欲処理に使える肉便器だぞ?男子高校生からしてみたら夢のような存在だと思うんだが何がダメなんだ?」



強いて言わなくても全部ダメだな。


こいつの話はとりあえずいいや。




鈴木の話。



「俺は花園パイセンにコレを使えばあの時の皐月と戦えるって聞いて皐月にさいみんあぷりの事をよく知らねぇで使った。んで皐月に負けて……無理矢理ヤられた……あっ、いや!無理矢理っつってもな!別に俺は、その……イヤじゃなかったから別にいいんだけどよ……そっからだなぁ、花園パイセンに改めてさいみんあぷりの事を聞いて、それでな……皐月が俺の事を特になんとも思ってねぇって知ってな……なんかそっから頭ん中ぐちゃぐちゃになって……気がついたらもっかいさいみんあぷり使って皐月に抱いてもらった……やっぱ俺さ。皐月の事が好きでさ……もうどうしたらいいかわかんなくてよ……だから使ったんだ……楽な方に逃げたんだよ……情けねぇ……ホント情けねぇし俺は卑怯者だ……うぅ……ぐすっ……すまねぇ……こんなバカで卑怯者な俺だ……だけどよ……皐月……俺、なんでもするからさ……なんでも言うこと聞くし……言われたことちゃんと守るからさ……傍に……傍に居させて……くれねぇかな……高望みはしねぇよ……傍に居られるだけでいいんだ……頼むよ……皐月……傍に……居させてくれ……」



嗚咽を漏らしながら鈴木は懇願した。


ただ傍に居たい、と。


今の鈴木の姿はあまりにも痛々しくて、弱々しくて、普段の様子からは想像がつかない程に悲壮感を漂わせていた。


ただただ自分の想いに苦悩する普通の女の子がそこに居た。


そんな鈴木を切って捨てることが俺に出来るのだろうか?いや出来ない。


俺は衝動的に鈴木を抱きしめた。



「さ、さつき……?」


「火之迦具土神……もう泣くな……俺が傍にいるから」


「う、ううぅぅぅ……!」



鈴木は俺の胸に顔を埋めて押し殺すように泣き続けた。


俺は鈴木が泣き止むまでずっと鈴木の頭を撫でながらあやし続けた。




「私達は一体なにを見せつけられているのでしょうか……」


「鳥乃先輩。鈴木さんと兄さん引き離してくれません?」


「まて。流石にこの状況でアレを引き裂ける程、私は外道では無いのだが……」


「ねぇ、僕の話は?次、僕が話す番じゃないの?なんでサツキとヤンキーは抱き合ってるの?アレ蹴っていい?」


「驚きのクズ。流石カズさんです」


「アレを引き裂く選択肢が出る涼花さんも大概どうかとだと思うんですが」


「なんてことはありません。引き裂いたら兄さん怒ってお仕置してくれるかなって」


「それはありだな」


「それで蹴っていいの?」


「ダメですよ!ここはしれっと2人を優しく抱きしめる所です!それでは私は行きますね!」


「あっ、しれっと2人に混ざりましたね白井先輩」


「あざといな。よし私も行くか」


「待ってください鳥乃先輩。行く前にこのアホに邪魔されないように縛ってから行きましょう」


「それもそうだな。縄ならあるぞ」


「はっ!?ちょっ!?なにするんだよ!?やーめーろーよー!!?!」










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