IS#7 朝日屋夏雲
「俺は久保皐月!おまえは?」
「……朝日屋夏雲」
「そうか!ならカズだな!よろしくカズ!」
僕とサツキの出会いは偶然だった。
小学生3年生のクラス替えでたまたま一緒のクラスになって、たまたま隣の席だったってだけだ。
◇◇◇
「ねぇサツキ」
「どうした?」
休日、僕は今日も今日とてサツキの部屋に遊びに来ていた。部屋でごろごろしながらサツキと遊んでいる。
そこでふと疑問をサツキに投げかけた。
「サツキってさ。なんで僕と絡んだんだっけ?」
「最初に会った時あたりか?」
「そうそう」
「んー……よく覚えてないけど、多分……」
「多分?」
「席が隣だったからだな」
「なにそれ」
「なにそれって……きっかけなんてそんなもんだろ?」
「そんなもんかなぁ」
「そうそう。っていうかカズ性格悪いだろ?今もそうだけど、あの時は今よりもっと酷かったし。多分、席隣じゃなきゃ話しかけすらしなかったと思うぞ?」
「おい!僕が性格悪いってどういことだよ!」
「道で困ってる人が居ました。さてカズさん貴女はどうしますか?」
「えーっと……指さして笑う?」
「驚きのクズっぷり」
「えー!?困ってる人が居たら指さして笑うしかないでしょ!ないよね?サツキは笑わないの!?」
「助けるという選択肢が1ミクロンも出てこないカズが逆に凄いと思いました。どう考えてもおまえの性格は悪い。むしろ最悪の分類だぞ」
「そうかなー?」
「そうだぞ」
「でもサツキはそんな僕の親友だよね?だったらサツキもクソザコナメクジじゃない?」
「逆、逆。おまえが最低クズ女の変わりに俺の性格がいいからバランスがとれてるんだろ」
「サツキの性格がいい?はっ(笑)」
「おい今、鼻で笑ったな?」
「いやサツキだって性格よくないでしょ?僕の扱い酷いし!僕のことはもっと優しく!大切に!敬ってよね!」
「はぁ?それおまえがただただ調子に乗るだけだろ?優しくしろって?イヤですけど?」
「なんだよー!いいじゃんかよー!僕にもっと優しくしろよー!」
「あー!もう!うっさいなぁ!部屋から放り出すぞテメェ!大人しくしろ!じたばたすんな!」
「ちょっと!ちょっとだけでいいから!ね?優しくして?」
「……カズ」
「はぁい」
「いつも一緒に居てくれて、ありがとな」
「いやぁ!どぉいたしましてぇ!まぁあ!サツキみたいなポンコツクソ雑魚ダメ男を構ってあげるのは僕ぐらいのもんだし?僕としても正直渋々って感じなんだけども?1人にしたらサツキが可哀想だし?しょーがないかなぁって感じで一緒に居てあげてるんだけども?やっぱりそんな心の広い僕に対して感謝を告げるのは当然だよね!いいよいいよ!ほらもっと僕に感謝を捧げるんだよ!ぼけっとしてないで僕の足でも舐めて感謝をあらわしてよ!ほらほらぁ!サツキぃ!足舐めろよお!」
「こんの……糞野郎……」
「おらおらサツキぃ!僕の言うことが理解できないのかよォ!まったくそのおツムにはホントに脳みそ詰まってるのかな?はぁ、サツキみたいな低脳には僕の類まれなる優秀な脳みそを分けてあげてやりたいところだけど……うーん。でもやっぱりサツキなんかにはちょっと、僕の脳みそは勿体ないかなぁ。ごめんね?自分の空っぽの脳みそで我慢してね?」
「てめぇの蛆が沸いた脳みそなんてこっちから願い下げだっつーの!」
「はぁ!?蛆が湧いてるってどういうことだよ!流石の僕でもそれは怒るけど!?」
「こっちはとっくにブチ切れとるわ!表でろやテメェ!」
「はん!上等だね!僕が直々に分からせてあげるよ!」
◇◇◇
「うぅ……ぐすっ……ごめんなさい……もう謝るから許してよぉ……」
「しばらくそれで大人してろ!この蛆虫がッ!」
激闘(笑)の末に、俺はカズを正座させて、膝の上に分厚い教科書を大量に乗せてやった。
ついでに「蛆虫」と書いた貼り紙を貼り付けてやった(満足感)
「サツキー、僕、仮にも女の子なんだよ?それにこんな真似して、こんなんじゃお嫁にいけないよー」
「いけなかったら俺がもらってやるよ」
「は?サツキの嫁とかマジ無理なんだけど?」
「はい。教科書追加ー」
「うぐぅ……謀ったねサツキ!」
「アホなおまえが悪い」
「ぐぬぬぬぬ……いつか絶対わからせてやる……絶対だ!」
「まだ教科書が足りないか?」
「あ、いや嘘です!嘘だから!なんもしないから!あっあっあっ!やめて!これ以上教科書を追加しないで!壊れる!壊れちゃうから!」
「壊れた方が今より多少はマシになると思わんかねカズくん」
「嘘でしょ!?それ乗せる気?いやいやいや、まってまって!ごめん!ホントごめんて!」
「まぁまぁ、そう言わずに、な?」
「いーーーーやーーーー!!!もう許してぇーーーッッッ!!!」
性格は最悪でアホなカズだが。
俺の親友だ。
こいつとはずっとこのまま仲良くやっていければと、そう思っている。
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