#21 悪友




日曜日




[カズ]


カズ:暇

カズ:あそぼ

皐月:部活休み?

カズ:休み

カズ:あーそーぼー

皐月:おけ

皐月:どっかいく?

カズ:カラオケゲーセンラウワン

カズ:ちなみに金は無い

カズ:奢って

皐月:おい

皐月:一人暮らしの学生にたかんな

皐月:そんな余裕は無い

カズ:甲斐性なし

カズ:雑魚

カズ:クソザコナメクジ

カズ:ザコツキ

皐月:イラッ☆

皐月:表出ろやテメェ

カズ:ひんっ

カズ:やめて!僕にナニするつもり!

皐月:教科書に落書きして上履き隠す

カズ:陰湿かよ

カズ:キモっ

カズ:クソ陰キャしね

皐月:しねなんてヒドイ

皐月:ぐすん

カズ:うわっ泣いてるーwww

カズ:笑笑笑

皐月:親友が泣いてんぞ

皐月:慰めろや

カズ:煽るでしょ

カズ:指差して笑うでしょ

皐月:糞野郎

カズ:野郎じゃありませーん

皐月:えっ

皐月:ついてないの?

皐月:ウソだろ?

皐月:ああ

皐月:確かに胸はついてませんねwww

カズ:は?

カズ:ついてるけど?

カズ:あるけど?

皐月:つ鏡

カズ:キレそう

皐月:ごめんてwww

皐月:今度風船買ってやるからwww

カズ:はーーー???

カズ:キレたわ

カズ:覚悟しろよ糞雑魚野郎

皐月:上等だ

皐月:かかってこいや

カズ:首洗って待ってろ

カズ:今から行くわ

カズ:ゲームしよ

皐月:りょ

皐月:待ってる




◇◇◇




「サツキー来たー」



勝手知ったるなんとやらチャイムも無しに俺の部屋に上がり込んできたのは親友のカズ。


本名、朝日屋あさひや夏雲かずもで愛称がカズ。


小学生時代からの付き合いで腐れ縁――とは言っても高校は別なのだが、それでも頻繁に連絡は取り合うし遊ぶことも多々ある。


男っぽい相性に一人称は僕のカズではあるが、一応、女の子ではある。


とはいえ、気が合うし、付き合いは長いし、お互いなんの遠慮も無く煽り合える仲で男友達という感覚が強い。悪友というか俺としては親友だと思ってる。



「すまん!まだ風船買ってない!」


「そんなんいらないよ!もう!僕をなんだと思ってるんだよ!」


「ぺたん娘」


「よしわかった。もう生きては帰さないコロス」


「ココ俺の部屋なんだが?もう帰ってきてるが?」


「二度と朝日は拝めないと思え」


「今、朝日屋さんをすでに拝んでるんだが?」


「拝んでない。もっと僕を敬えよな!」


「カズ……敬うなんて言葉よく知ってたな……」


「バカにしてる?バカにしてるよね?僕でもそれぐらいは知ってるんだけど?」


「偉い!偉いぞカズ!おまえは出来る子だったんだな!褒めてやろう!よしよし!」


「やーめーろーよー!頭撫で……えへへへっ!いいよいいよ!もっと撫でて!褒めて褒めて!」


「ちょろ」


「あん?」



じゃれ合いもそこそこにカズはバッタリと床に倒れ込み突っ伏した。



「それにしても外あっついんだけど。あー、クーラー涼しー」


「もうすぐ夏休みにもなるしな。そりゃな」


「サツキーアイスー」


「そんなモノはウチにありません」


「糞雑魚じゃん。買ってきてー」


「買ってきて、って。来る時に買ってくりゃよかったろ」


「えー、なんで僕が買ってこなきゃなんないんだよ。そんなお金無いけど?」


「俺も無い。氷ならあるけど舐める?」


「あ、舐める」



冷蔵庫から1口大の氷を持ってきて、それを飴玉の様に舐め始めた。



「ふぃんやりしていてふぁるくないへぇどなんかひもしい」


「ふぁんてふぃってるかふぁかんねぇよ」


「ふぁ?ふぁにふぃってんの?」



2人でモゴモゴと氷を舐める構図はなんともアホみたいであった。




◇◇◇



「あっ!ちょ!サツキ!死ぬ!死んじゃう!回復!早く回復して!」


「またかよ!もう粉塵無いぞ!」


「は?なんで無いの!ちゃんとかいふくしてやくめでしょ!あっ……死んだ……もう!何やってるんだよサツキ!ちゃんとやってよね!」


「なんで俺が攻められねばならんのか……」


「なんでって僕が気持ちよく戦えるようにサポートするのがサツキの役目でしょ?僕が乙ったらそれはサツキの責任だからね?わかってる?」


「なんという理不尽」



日曜の昼下がりダラダラと2人でゲームの協力プレイである。


やっているのは今流行りの国民的狩りゲーだ。


それでカズはとりあえずイキって突撃し敵にボコられる事を繰り返している。ぶっちゃけヘタクソだ。



「あーもー!敵は強いし天鱗(レア素材)は出ないしサツキは糞雑魚だし!こんなんクソゲーじゃん!」



ゲーム機をほおり出して腕を伸ばしながら仰向けになるカズ。



「クソゲー言うなクソゲー。楽しいだろ。歯ごたえあるし、やることいっぱいあるし」


「僕は弱い敵を一方的にボコボコにしたいの!強い敵にボコボコにされてもつまんないの!なんだよもう!もっと敵弱くしてよね!」


「うわぁ……」


完全に迷惑なクレーマーみたいな事言ってる。


ギャーギャーと喚き散らすカズ。基本的には何をやってもカズはいつもこんな調子である。ワガママというか生意気というかなんというか。



「ちょっと休憩!」


「はいはい」



そのままゴロゴロし始めるカズを尻目に俺は一人黙々とゲームを続ける。うむ。カズとやるより一人でやる方が捗るな。



「ねぇサツキ」


「なんだ?」


「僕と遊んでて楽しい?」


「何を急に……楽しいけど?」


「ホント?」


「ホントホント、喚きながら逃げ回るお前を見てるのは最高に楽しいぞ」


「うわっ性格わるっ」


「はっはっはっ、なんとでも言うがいい」



ふと会話が途切れて沈黙が訪れる。部屋にはゲーム音だけが響いた。


カズとは旧知の仲、こんなものでは気まずい空気にはならずダラっと和んだ平和な空気感だ。コイツと一緒の空間は実に心地よく感じる。



「…………ねぇ」


「ん?」


「そのさ……」


「おう」


「最近は美春とはどうなの?」


「美春……?美春がなんかしたのか?」


「うーん……いや……どうなのかなって」


「どうもこうもな。いつも通りだけど?」


「ふーん……」



カズはもちろん美春とも交流はある。そりゃ美春とはだいたい一緒に居たし、それでカズと美春の交流が生まれるのは自然な流れだ。



「それじゃさ涼花ちゃんとはどうなの?」


「涼花?涼花とも特に何も無いぞ。いつも通りだな」


「ふーん……」



カズは涼花とも(以下略)


一緒の学校に通ってる時は4人で遊んだりはよくあった。今でこそカズとは別の高校になってしまい4人一緒という事は稀になった。


カズも同じ高校だったらよかったのになと心の中で思う。まぁ、今でもこうして頻繁に会って遊んでいるから疎遠になっては居ないのだが。


ちょっと寂しくはある。



「よっ」



カズは上体を起こして俺の方を向いた。



「そういやさ、サツキ……僕さ。面白いアプリ見つけてさ……」



スマホを取り出して操作を始めるカズ。



「2人で出来るからさ。サツキも一緒にコレやらない?」



そう言いながらカズは俺にスマホが差し出し、そして俺はそのスマホの画面を覗き込んだ。












[追記]

モン〇ンやってて更新遅れました許して!(オイ

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