ダメと言われたらやりたくなるものさ
朝の目覚めというものは休日は清々しいが平日はただの苦痛そのものである。今日これから過ごさなければならない学校生活というものに身構えなければならないからだ。
「さてと、いただきます。」
俺の両親は毎朝俺を起こしてすぐに仕事へ出てしまう。朝ご飯と弁当を作ってくれるのは本当に頭が上がらないほどの感謝を送りたい。今日も味噌汁は美味しい。
サッと食べ終わった食器を片付けて荷物を持って家を出る。今日も生活するには過ごしやすい天気と気温である。
学校ってなんであんなに行きたくないんだろう。なんか体が拒絶しているのは生物的本能なのだろうか。
そんなどうでもいいことを考えながら俺は北へと自転車を走らせる。本当に北に行けば行くほどなんにもないなここは。
周りに田んぼが多くなってくると学校がよく見えるようになる。周りに校舎より高い建物がないからだ。
駐輪場に自転車を停めるなり後ろから仁がやってくる。
「よっおは」
こいつは本当に朝から元気だな…俺はもう帰りたいぞ。
「おう、おはよ。朝から元気だな。」
「そうか?昨日彼女とハッスルしたからかな?笑」
おい、誰か俺にこいつを殴ってもいい許可をくれ。殴らずにはいられん。
そんないつも通りの会話をし終わる頃には予鈴がなる時間になってしまっている。ここからが地獄の始まりだ。
「みんな席につけよー。そこっ!山中と真田携帯はしまっておけ!私じゃなかったら没収だからな!」
今日も担任の松江先生は元気だ。ちなみに30歳独身である。
「今日は短めにホームルームを終えるつもりだからちゃんと聞いておけよ。今日から3階の渡り廊下の工事が始まるから使用がしばらく禁止になる。間違っても入らないように。以上!」
松江先生は元気よくホームルームを終え、職員室へと戻っていった。あの元気誰か貰ってあげてくれ。きっといい人がいるはずだ。
授業中というものは酷く憂鬱なものだ。何しろ授業の内容が耳から入って耳から出ていく。ここの教師は1度自分の授業を録音でもして聞いた方がいい。何もわからん。
そんな感じで俺は6時間目まで睡魔と戦ういつも通りの日常を過ごしたわけだ。マジで学校来てる意味あんのかな。
「仁、今日は帰れそうか?」
「悪いな?今日も彼女とイヲン行く予定があるんだよ。」
チッ!また惚気かこいつ。階段でコケてしまえ。
「わかった。じゃあまた明日な。」
俺はそんな感じで仁に別れを告げると借りていた本を返しに3階西側の最果てに位置する図書室へと歩き出した。
高校の図書室でラノベが借りられるのは本当にありがたい。ラノベ中毒者はひれ伏すレベルだ。
本を返却ボックスに入れ終えたし帰りますかね。ん?3階の渡り廊下って入っちゃダメなんじゃ。
俺の目の前には3階の渡り廊下から屋上へと繋がるはしごを上り終えようとしている生徒が見えた。
おい、止めなきゃまずいだろ。
俺は考えることよりも先に足が動いていた。俺も同じようにはしごを上り扉を開ける。
目の前には手すりにもたれかかった綺麗な女子生徒が1人、まるでこの場所にいるのが不思議なような存在感を放ちながらもそこに存在していた。
あれ、どっかで見たような?
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