第4話

「急に消えちゃってごめんな、はるちゃんにしか頼めなくてさ。報覧新聞のコラム編集部に連載用の音声データと伝えてUSBを渡してある。それが今回流して欲しい動画だ。僕からの謝罪動画と説明して、観客の皆さんに届けてくれ。」


いつになく真剣な顔で話し合えると、俯き、考え込む橘さん。何かもの寂しく思う表情、それから少しして、にこやかに告げた。


「はるちゃんも内容は確認せずに、記念公演当日の19時ジャストに流して欲しい。」


橘さんの目的は一体何なんだ。全く全容が掴めない。信じたくないが、仮に間瀬氏を殺害したのが橘さんで、逃亡、何か世間に伝えたいことがあって、それが謝罪動画に残されているのだろうか。


報覧新聞社-確か橘さんが不定期にコラムの連載を持っていて、送迎で向かった覚えがある。

とにかく、向かうしかない。


「本日のアポイントメントはございますか-」


早速足止めをくらった。適当なでまかせ言って切り抜けられる状況でもなさそうだ。エレベーターホール前にある案内板がちらっと目に入った。


「あのー今日11階でやる、新卒採用の説明会の者で、、、」


「そうでしたか。右側のエレベーターからどうぞ。」


今年で26歳-だが未だに年齢確認をされる程に童顔である。年相応、大人な楽曲作りを目指してるものの、ビジュアルに説得力ないから、イマイチ人気出ないんだろーな。俺ら。


エレベーターで11階まで上がり、そこから非常階段を使って15階に侵入、娯楽欄のコラム編集部に向かう。


「.....何の御用でしょう?」


そう言って出迎えたのが、平 なごみとの出会いだった。

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