7.水族館デート

「こんにちは」

 待ち合わせは朝の10時

 開館同時に入るので静かな空間。

 2人で時間があったのが、たまたま平日だった。本当に人がいなくてすいている。

「映えとか気にする?」

「写真は時々あげるかな」

「ここの食事って結構人気らしいよ」

「可愛いモチーフたくさんですものね」

「イルカのショーがあるはずですよ。見ますか?」

「ぜひ」

 ショー開始の時間までほかの生き物を見て回る。

 物を買う時間もゆっくりと見る時間もある。

 エイも観れるし、カニもいるし。

 角質をとる魚もいる。体験コーナーがあった。

「うわーなんか怖いかも」

「やってみよう」

 左手を入れてみる。

「なんか不思議な感覚。くすぐったい感じかな」

「ああ、そろそろイルカショーの時間だね」

 バタバタと2人で移動する。

 飼育員さんの指示通りにボールを使ったパフォーマンスをしたり、タイミングよく飛んだり。

 久しぶりに童心に戻ったような感じだ。

「触れます。いかがですか?」

 ふつうはお子さんが触るのだろうが、親子ずれはその回は少なく、興味があまりない子供だったらしい。

「恥ずかしいな」

「行ってらっしゃい」

 ザラザラした感触だったが、かわいいという感情が勝つ。

水しぶきを少し浴びたけれど、 触れられたからいい体験になった。

「かわいいね」

 お礼を言い、ショーは終わりを迎えた。

「かわいらしかったです」

「だね。ハンカチどうぞ」

気遣ってくれたり、笑ってくれる彼をいいなと思った。

 


 



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