8.食事の時間は

 ショーを見終わり、物販をみて、食事の時間。

 このお店大人気のパフェを頼む。

「写真撮ってもいいですか?」

「どうぞ」

 2人分の食事の写真を撮る。

「楽しいですね」

「リサーチしてきてよかったです」

「慣れているんですね。デートみたいな」

「まぁ。大企業で勤めているとどこでどんなスキルを求められるのかわかりませんから」

「そうですね」

 たのしい会話が続く。

「前からいいと思っていたんですけど、付き合ってもらえませんか?」

「――私でいいんですか?」

「努力しているあなたのことをもっと知りたいなって」

「社会人になって初めてかもしれません。そんな風に言われたの」

 私は、どんなに頑張っても、男性のようには働けない。

 睡眠時間が削れない。

 悔しいなって何度も思ってきた。

 社会人になって初めて、女性でよかったと思える。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 彼は私の言葉をどこまで汲んでくれただろうか。


 カフェを出たら、手を握ってくる。

「恥ずかしいです」

 こんなときめきはいつぶりだろうか。

 付き合ってと言葉で言われることも手をつないでくれることも久しぶりすぎて。

 どんな反応がこの場にふさわしいのか、とても困る。

 それくらい、一人で頑張ってきたのだった。

(神様が暮れたお休みみたいな時間だわ)

 とにかくうれしい日になった。

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