(二)-5

「てめぇは誰だってんだよ!」

 国分は大声を張り上げた。腹の痛みで苦痛に顔をゆがめながら。

「俺は餅原勇人」

 俺は静かに答えてやった。

「名前なんか聞いてねえよ! なんだってんだよ、お前はよお!」

「俺のオヤジはお前に殺された」

「誰だ、そりゃ」

「餅原金属工業という町工場を覚えてないか。十七年前のことだ」

「餅原? 知らねぇな。町工場の案件ならいくつもあったからな。いちいち覚えてねえよ」

 国分は立っているのが辛くなったのか、タンスに背中を預けながら床に座り込んだ。

「で、お前はなんだってんだよ。復讐でもしに来たか?」

「そうだ」

 俺はそう答えた。


(続く)

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