(二)-3

 俺は振り向きざまの国分のへその辺りめがけて包丁を水平に押し込んだ。

 包丁は老人のときと同じようにすんなり刺さった。中の肉などの圧力で、少し押し戻される感触もあったが、自分の体全体を使って国分の体に包丁を埋め込んだ。

 不意を突かれて、国分はうめき声を上げた。そして自分の腹の傷を確認するとすぐに俺の肩を押して俺を突き放した。俺は数歩後ろに下がった。

「てめぇ、どういうつもりだ!」

 俺は国分をにらんだままなにも言わなかった。つい数分前の一度目のときには心臓の鼓動が早くなり、息も上手くできなくなるほどになったが、二度目の今となってはもう慣れたのだろうか、心臓の鼓動は落ち着いていた。


(続く)

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