(二)

「お前は金目のものを片っ端から鞄に詰め込んでゆけ」

 国分は俺に命令した。

 結局、金の在処を話さないどころか「お前らにやる金はない」と強弁する老人に対して、国分は腹に刺さっている包丁を抜いて、老人の胸などを滅多刺しにして殺害してしまった。

 俺は心臓の鼓動がかなり早く動いていた。こんな体験は初めてだったからだ。ただ、俺がここへ来た目的はまだ一つしか達成されていない。だから俺も動いた。

 国分は持ってきていた鞄の口を開けて部屋の壁際にある、アンティーク調のタンスを下から順番に開けて中を調べ始めていた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る