クォランティン

  医者として後藤新平は任果たす二十万余の帰還兵の検疫(医師脳)


 14世紀のヨーロッパでペストが大流行したとき、感染している街の港から来た船は、イタリアのベネチアに入港できず、40日間の海上停泊が求められた。

 これが検疫(quarantine)制度の始まりで、イタリア語40(quaranta)が由来とされる。


 検疫とは(その地域にない感染症の病原体が持ち込まれないよう)空港や港で行う検査(必要であれば隔離・消毒)措置である。

 横浜に寄港していたダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客が(一定期間)下船できなかったのはまさにこの状態だった。


 最近では「self-quarantine」という語も目にする。

 これは(人に移さないよう)自宅などに籠り、人との接触を避けている状態。

その理由は、陽性反応が出ても病院の空きがなかったり、感染が疑われても検査を受けられなかったり、とさまざまである。


 かつての日本では「日清戦争の帰還兵検疫」を後藤新平が指揮した。

 3か月弱で23万人の検疫をしてしまうというのは、欧米からも絶賛された。


 このときの結果については『陸軍検疫部報告書』として和文のほか英文も作成され、世界各国に寄贈された。


 ドイツ皇帝がこれを読んで激賞したそうだ。

「戦争に勝った国はいくらでもあるが、あと始末をきちんと行った国は少ない。日本は凄い国だ」と。


「Wunderbar!」と言ったかどうだか。

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