「短命県返上」に愚考する

 2020年も青森県の平均寿命は男女ともに都道府県別ワースト1位だ。

「短命県返上」キャンペーン特集を読み返し、こんなに医療専門家が頑張っているのに何故? という疑問は晴れない。

 2022年12月26日『天地人』曰く。

「10~30代の皆さん、きょうの食べ方、飲み方、喫煙、運動習慣が30年後の体をつくると思って気をつけて。自省を込めて呼び掛けたい」―。

 だが問題は「なぜやらないのか?」にある。


 パブリックヘルス的思考が必要だ。

 イチロー・カワチ著『命の格差は止められるか』を読み直す。

「生活習慣病など、病気の改善を個人の努力だけに追い求めてしまう社会は、格差をより大きくしてしまう」とある。さらに、長寿のカギの一つが〈社会のありよう〉―教育や収入、仕事や人とのつながりなど、その人を取り巻く社会的要素―だと語る。


 それならば〈格差〉を調べようと、都道府県別の年間収入のジニ係数(二人以上の世帯)をググった処…。

 青森県(0.33)は、トップ東京都(0.34)に迫る5位である。

 つまり平均収入で下位グループの青森県は、加えて非常に大きな格差社会だったのである。

「短命県返上」するには、青森県の〈社会のありよう〉を官民挙げて見直す必要があろう。

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