第66話 五十年で『一衣帯水』ひろがりてパンダの寄贈は貸与になりぬ

「五十年で『一衣帯水』ひろがりてパンダの寄贈は貸与になりぬ」―。


 1972年9月29日、日中間の国交が正常化し、中国から日本へ二頭のパンダ寄贈も発表された。


 翌10月、雄のカンカンと雌のランランが上野動物園へ到着。


 以来この50年間で中国から迎えられたパンダは計7頭で、日本で誕生したのも計7頭。


 現在は(寄贈ではなく)繁殖研究目的で貸与されているらしい。


     ◇


 中国が、いわゆる「パンダ外交」を始めたのは1940年代。


 日中戦争下の1941年には、蒋介石の妻・宋美齢が懐柔策としてアメリカにパンダを贈る。


 1949年に成立した中国共産党政権も、パンダの人気を利用して人民の愛国思想を育むために北京動物園で展示。


 さらにモスクワや北朝鮮にも贈呈されたらしい。


 1971年10月にロンドン動物園で、パンダと対面した昭和天皇が満面の笑顔をみせる様子が報道された。


     ◇


 50年前の共同声明

「日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している」を今こそ読み直したい。


 反省を込めて一句詠む。


「日・中はパンダまかせで50年」


(20221004)

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