第11話 パーゴラよりトロピカルな甘き香ただよへりゴーヤーの可憐な黄花そよぎて
「パーゴラよりトロピカルな甘き香ただよへりゴーヤーの可憐な黄花そよぎて」―。
ダイニングのガラス戸を開けると、ほのかな甘い香りが漂う。
ベランダに出て正体を探す。
…と、夏の強い日差しを和らげようと春先に植えたゴーヤーの苗がパーゴラまで這い上がり、そのグリーンカーテンに散らばる小さな花からだった。
ミツバチの羽音も聞こえる。
◇
ミツバチは優れた嗅覚を使って空気中の揮発性物質を検出し、数キロも離れた場所にある花を見つけ出すことができるらしい。
犬やミツバチとは比較にならぬほど低感度の人間の嗅覚だが、加齢とともに低下し続ける。
そして今のところ有効な治療法や機能を補う(眼鏡や補聴器のような)機器もなさそう。
◇
日本耳鼻咽喉頸部外科学会のホームページ。
「嗅覚機能の低下がある場合
①腐敗した食品を食べてしまうのを防ぐために賞味期限を厳守する。
②ガス漏れや火事を起こさぬようセンサーを取り付けたり電磁調理器を使用する。
③味を感じにくくなり塩分・糖分過多になる危険があるので、家族に味を確認してもらうといった工夫も必要」とある。
◇
鼻は、目や耳ほど危機感を持たれないかも知れないが、嗅覚異常は命にかかわるのである。
(20220810)
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