第26話:皆仲良く?




『それでは、行こうか』

 神様はそう言うと、私をマーガレット様とアイリス様の所へと連れて行った。

 連れてったっていうか、瞬間移動だけどね!吃驚よ!


 更にマーガレット様とアイリス様を連れて、家族席に居たお二人の家族の元へシュンッと移動。

 呆然と見上げる公爵夫妻と侯爵夫妻に、『行くぞ』と声を掛ける神様。


 そんな時に、アイリス様が焦って私の袖を軽く引っ張った。

「あの、隣りに居るのが私の婚約者のご両親の辺境伯なの」

 コソッと言ってくるアイリス様が、わずかに頬を染めていて可愛らしい。

 いや、今はそれどころじゃ無かった。



『早く立たぬか』

 神様に言われ、跪いていた公爵夫妻と侯爵夫妻が慌てて立ち上がる。

『何をしておる。お主らもだ』

 神様が、アイリス様の言っていた辺境伯にも声を掛けた。


「解ってたみたいね」

 私の言葉に、アイリス様とマーガレット様が何度も頷く。

 いつもは落ち着いて淑女の鑑なお二人の珍しい姿に、私は一人でホッコリしていた。




 大人数で移動した先は……え?どこよここ。

 見た事も無い屋敷の前だった。

 立派な屋敷の前。

 馬車停めには、豪華な馬車が4台。

 私達が乗って来た公爵家の馬車と、おそらく三家が乗って来た3台ね。

 馭者と護衛らしき人達が、理由わけが解らず右往左往してる。

 なんかゴメン。


「うちの前……?」

 ボソリと呟いたのは、辺境伯当主だ。多分。

 挨拶してないけど、アイリス様が言ってたからね。

 それにしても辺境伯領地って、馬車で1ヶ月は掛かる所よね?


『さて、アイリス嬢。例の計画の話をしようか』

 神様の笑顔が黒い!

 擬音を付けるなら「ニヤリ」だ。

「はい!」

 そして返事をしたアイリス様の笑顔も、黒いような気がした。




 そして、私達が楽しい時間を過ごしていた同じ頃、王宮の1室では地獄絵図が展開していた事を、後で神様から報告された。

 神様って、同時に存在出来るの!?っと思ったら、あちらに出現したのは女神様なんだって。

 神様の奥様。


 え?会いたい。



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