第20話:真打ち登場




 残る未判定は、私達三人姉妹だけになっていた。

 イザベラとアモローサは、取り巻き達や取り巻きの身内の判定が悪かったので、周りから人が居なくなっていた。

 あれだけ周りに持ち上げられていい気になってたのにね!


 会場内も、この三人の中の誰かが聖女だと注目している。


 神の祝福を受けたアイリス様とマーガレット様と一緒に居る私が聖女だと、会場全体の雰囲気が言っていた。



「カーリー嬢」

 進行役の人に名前を呼ばれたが、一瞬自分だと思わなかった。

 なぜなら、家名が無かったからだ。

 そして実は私も、自分が聖女では?と思っていたのだ。


 今までの流れから、聖女が最後に呼ばれると、誰もが思っていたと思う。

 私もそう思っていた。

 それなのに、残ったのがあの二人か。


「カーリー嬢、舞台へ」

 もう一度呼ばれ、私は急いで舞台へ上がった。

 イザベラとアモローサの離れていた取り巻き達が、ソロソロと寄って行くのが舞台上から見えた。



「は!やっぱりあの出来損ないが聖女のわけ無いじゃない!」

 イザベラの声が聞こえた。

「ちょっとドレスと化粧で誤魔化しても、醜いものは醜いのよ!神様がそんな趣味悪いわけないわよね!」

 アモローサも得意気に、私をおとしめた。




「我が愛し子よ、我のもとに」

 神官が水晶玉に浮かび上がった文字を読み上げ、そのまま膝をいた。

 両手を胸の前で組み、「聖女様」とか呟いて見上げてくる。


 聖女なのも吃驚だけど、「我のもとに」って何?私、死んじゃうの!?


 進行役の人も、呆然と神官を見つめているし、会場内も呆然としてる。

 聖女だと思ったけど、やっぱり違ったのか~からの、実は聖女でした!って展開に、誰もついてきていない。


 勿論、当事者の私も。


 なんなら、あの二人が聖女なのか!趣味悪いな!神様!くらい思っていた。



『やれやれ。最後までちゃんと読み上げて欲しいものだ』

 私のから、男性の声がした。

 進行役の人も、神官も、私よりも前に居る。

 しかもこの声には、聞き覚えがあった。


 そろそろと振り返ると、真っ白い長髪に真っ白い服で、金色の瞳の恐ろしく整った顔の男性が居た。

 人外の美しさってこういうのを言うんだろうなぁ、と脳が考える事を放棄して、どうでも良い事を思った。




 人間、自分の許容範囲を超えた事が起こると、本当に頭が真っ白になるんだねぇ。

 会場内から物音が消えた。

 多分、皆の視線は私の肩を抱いている真っ白い男性。


 うん。疑いようが無いよね。

 神様だよね!?


『しょうがないから自分で言うか』

 右手で私の肩を抱いて、左手で頭を撫でてくる神様。

 恋人とかってより、父親っぽい。

『カーリーは婚姻するまで、我と共に住む』

 婚姻!?神様と?

 あれ?でも、それなら言い方変だよね。



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