第17話:前日の夜、公爵邸




 私は家族に何も告げず、迎えに来た公爵家の馬車に乗った。

 勿論、ちゃんと執事や私付きのメイドには、公爵家から判定式に行く事を伝えてある。


 10日前に最終確認したドレスは、とても素敵な出来上がりだった。

 マーガレット様は淡い黄色、アイリス様は藤色、私は明るい緑色だった。

 そして名前の花がドレスと同色の糸で刺繍されているのよ。角度によって見えるそれがとても上品で素敵。

 まぁ私の場合は花ではなく、葉がメインだけど、それはそれで良い。


 デザインもまるっきり同じではなく、それぞれの体型にあったアレンジも加えてある。

 最高級オーダーメイドの底力を見たわよ。


 マーガレット様のボリューミーなお胸も、アイリス様のスレンダーなスタイルも、最高に活かされてるのに、お揃いだとわかるのよ?凄いわ。

 私は所謂いわゆる均整の取れたスタイルなので、基本デザインとされた。

 それも間違いなく素敵なんだけどね!

 明日着るのが楽しみだわ。




「まぁ!そんな事を言われたの?」

 私は昼食の席で言われた事を、二人に余す事無く話した。

「あら、ではうちに養子にいらっしゃいな」

「うちでも良いわよ」

 オホホホホ、と笑う二人の目は笑っていない。


「でも、お二人共王家に輿入れしてしまうでしょう?」

 養子に入っても、頻繁に会えないなら意味無いわ。

「あら、私は辺境伯に嫁ぐのよ」

 アイリス様が言う。

「私は王家は王家でも、隣国の第二王子よ」

 マーガレット様まで、予想外な事を!

「まだ、内緒ね」

 どうやら政治的な何かがあるらしい。


「そうだわ、私の嫁ぎ先の辺境伯へ養子に入って、隣国の辺境伯へお嫁に行きなさいよ!」

 はい!?

「良いわね、それ。そうしたら三人でずっと一緒に過ごせるわ」

 えぇえ!??



 アイリス様の嫁ぐ辺境伯領とマーガレット様が嫁ぐ第二王子の領地は隣接しているそうだ。

 そしてその2つと接しているもう一つの領地が、隣国の辺境伯領らしい。

 その辺境伯の後継と二人の隠れた婚約者も仲が良く、花嫁募集中との事。


 ちょっとその気になってきている私がいた。

 どうせこのまま実家にいても、良い条件の結婚相手が見つかるとは思えないし、下手すると金持ちの後妻とか、訳あり男に嫁がされそうだしね。



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