第11話:自己責任とその重さ




 イザベラが卒業し、私達の学年が最上級生になった。

 私が不正をしているという噂はかなり下火になったが、今度は「妹を虐める悪女」という噂が今まで以上に広がっていた。


 相変わらず私の目の前で触れてもいないのに転んだり、私の知らない所でびしょ濡れになったりしたアモローサのせいだ。



 一度、私が担任に呼ばれ職員が沢山居る場所で手伝いをしている所に、アモローサの取り巻きの男二人が「アモローサが姉に噴水に突き落とされた」と飛び込んで来た事があった。

 キョトンとした教師陣が「イザベラ様が学園に来たのですか?」と問い、男が「カーリーに決まっているだろう!」と叫んだ。


 教師陣の視線が私に集まり、男達は自分の失態に気付いた。

 もしかしたら、彼等は本気で私が犯人だと思っていたのかもしれないけど。


「お前!アモローサ様を突き落としておいて、こんな所に居たのか!」

 彼は伯爵家の三男だったかしら?

 そんなに平民に落ちたかったのね。

「まぁ、アモローサは噴水の中に30分以上入っていたのね?」

 私の台詞に、彼等は顔を真っ赤にして怒る。

「そんなわけ無いだろう!」

 こっちは男爵家嫡男よね。

 弟が居れば良いけれど……。


「あら。では助けてから1時間も経ってから報告に来たの?」

 私の言葉の意味を理解したのか、彼等は顔面を青く染めた。

 残念ね。私の無実の証人は、ここに居る多数の教師よ。




 残念な伯爵家三男は、無実の伯爵令嬢を証拠もなく冤罪で陥れようとした者として、騎士になる道はたれた。

 伯爵家で穀潰しとして生きるか、除籍され平民になるか、どちらを選ぶのかしらね。


 男爵家嫡男は、廃嫡になった。

 弟はおらず、遠縁の男子を養子に迎えるみたいね。

 学園の卒業を待たず、男爵家から除籍されたそうだ。


 きちんと事実確認しないで、アモローサの言う事を鵜呑みにした自分を恨みなさいね。



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