第3話
「ちょっ!!!
痛いっ!!!離せよっ!!!
おっれ…」
飛び降りたじゃん.
無駄飛びじゃん.
飛び降りる前に,下居るって言えよっ!!!
真っ暗な中,潜まれてちゃ敵わんわっ.
行間
秒で
掴まって
しまった…
「おいっ!こらっ!
こっち,誰だと思ってんだよっ!!!」
なんにも言わないし…
後ろ手が…ギリギリ締まって,いてぇ…
もっと,向こうでやれよっ…
上で…
婆ちゃんが…
見てるんじゃ…
もう上が見上げらんなくて,
「俺は…
俺はぁっ
げんちゃんじゃねぇからなっ!!!」
5階まで…
婆ちゃんまで…
婆ちゃんの…心まで届くのか
分からないまま声を上げる.
まだらだもんな.
まだらだけど…
正気の時は違うって分かった感じで,
げんちゃんと話しかけてくる.
孫ごっこ
家族ごっこ.
よっぽど家族らしい.
代わりに
「知ってますよ.」
って声がした.
そっち見ると,
上で話してた捜査員だった.
「てめぇっ!
俺はっ何も聞いちゃいない!
へぼが,へまして,それを一緒くたにされるんだったら,
世の中あちこちが困んだよっ!」
あいつが馬鹿なまま乗って,
ぽしゃったんなら,それは,あいつだけの責任であって,
俺は全く知ったこっちゃない.
「多少,手荒にしても良いと言われていますから.」
なにぃ!?
「とにかくっ!
俺はっなんっにも知らない.
開放しろよ.」
「何で飛び降りてまで逃げようとするのですか?」
それは…
「お前らが追ってくるからだろ.」
「やましい事は全く無いと?」
・・・
ねぇよ…
「ねぇよっ!!!」
「こちらは有ります.」
「へっ!?」
やましい事がある奴らが,俺をひっ捕まえる…
まじか.
余計…
逃げねぇと.
体捻じった所で,後ろ屈強だし.
話してる奴,もう話通じ無さそうだし.
「誰かーっ!!!」
声上げ続けるしかねぇ.
大騒ぎして,何か起こってる事アピール.
あれだな.
「火事だーっ!!!」
これこれ.
マンション中,響き渡る声で.
酸素は貴重だよ.
皆,火事で使うなんて正気の沙汰ではいられない.
さぁ,出てきて.
こいつら窘めてよ.
なんかいつも出さない大声で,
肋骨が軋んでる感じがする.
紫外線浴びる定期検査.
あれ最後いつ受けたっけ.
「乗せろ.」
無情な一言が放たれる.
やべぇ.
向こうの動きの方が早い.
「その子はっ.」
声の方を向くと…
婆ちゃんだった…
「一緒に暮らしてる子だからっ.
良い子だよ.連れて行かないでおくれ.」
ヒーローかよ.
分かった上でか.
今,婆ちゃん正気か.
ははっ.
何か言おうと口を開きかけると,
「お前より,婆さん痛め付ける方が効きそうだな.」
耳元で,なんか恐ろしい事言われる.
・・・
「俺…
こんな婆さん知らない.」
もう,悪い子でいいや.
悪いようにしないでくれ呟く.
「何処?車.自分で乗るから.」
乗れるから.
歩いて…促されるまんま後ろに乗り込む.
挟まれた形で.
何処連れてかれんだろう.
でも,もう…
ここには居られない.
太陽戦争 食連星 @kakumi
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