第13話 初任務①
「さて、皆が食事が終わったようだから歓迎会はお開きとして…
早速ではあるけど明日の予定を発表するよ。
明日の任務は関東池袋地区に行ってもらう。
まだクラスター報告はされていないが毎度のことだが感染者が隠れている可能性が高い。データーによると何名かの感染が確認できた。
これ以上放置しておくと彼らは膨大なクラスター源になることが予想される。もう何度か報告のある地区だが今回も気を抜かないように。
明朝5時に集合、バス内で詳細を連絡する。
来て早々で悪いがニールこれが君の初任務になる」
「宜しく御願いします」
「では明日。解散」
解散という神楽の言葉を聞くと同時に何人かは自室に戻り、もう何人かはダイニングに残るようで各々が自由行動をとった。
席を立つタイミングを逃がしそうでニーナも同じように席を立とうとしたが横に座っているアレックスに制止された。
「あっニールちょっと待て。
この後少し地下にある武器庫で説明があるから残ってもらっていいかな?」
1人また1人と席を立ち残るメンバーが神楽とアナスタシアのみとなったを確認するとアレックスは神楽に一言声をかけ私を連れて地下へ向かった。
先ほど神楽にも連れてこられた武器庫だ。
部屋中にありとあらゆる武器防具が揃い見るからに物騒な部屋だが見る人がみたらこれは宝の山だろう。
今まで武器とは無縁な生活を送ってきたから武器ばかりが陳列された場所というのは2度目とはいえ未だに入るだけでドキドキしてしまう。
だってほらそうでしょ、あっちにもこっちにもいつ暴発しても可笑しくないものが揃ってるしここで火でもつかったら一貫の終わりなんだから。
「さっき隊長からはどこまで聞いてる?」
「マスクとピアスと制服について説明を受けてます。」
副団長はうなずいて棚からいくつかのものを取り出した
「明日早速出動ということだから今日から準備しておこう。
早朝ここは混むし説明する時間もないだろうから今日ここで説明して明日必要なものは部屋に持っておいた方がいいだろう。
これから大まかな説明をしていくけど、詳細は実際に使って慣れてほしい。
一応説明書もあるけど分厚いから誰も読まないし。隊長と重複する説明もあるかもしれないけどそこは復讐だと思って聞いておいてくれ」
いいのかそれで?と説明書を読まなくていいなんて言うアレックスにツッコミを入れたいがアレックスが指差した説明書は辞書なんてかわいい位かなり分厚いもので確かにこの説明書を読むのは一苦労だと分かった。
「まずは隊長からこの辺の説明は聞いてあるだろうけれど順番に説明していく
これがここで使うマスク。
カラス隊で使っているマスクは銅製素材の布でできていて他の物に比べて少し重いが中にその分何層ものフィルターが入っているから通常マスクと比較すると格段にウィルスが防げる。
このデザインはまぁ隊の名前とおりカラスの形状で大昔スペイン風が流行したときと同じデザインをモチーフに作られている。
古めかしいデザインをしているけれど、デザインだけでもちろん性能はさっき話したとおり最新のものになっているから安心して。
このマスクは使用後は必ずこの滅菌BOXに入れること。
もし入れ忘れたら次の出動時に使う代わりはこのダサいやつになるから忘れない方がいいぞ。
次にゴーグル。
このゴーグルは今見てもらったマスクとセットになっているものや別でつけるものもあるし付けない人も団員の中には何人かいるけど極力つけた方がいい。
目は裸の臓器とも言われるくらいだから無防備だ。目からの感染も防げるしなにより夜はナイトスコープ仕様だからかなり便利だから隊員の殆どが装着している。
っとニールはフルフェイスのマスクだったから元々の仕様でついてたな。
基本的に自動で変換されるがナイトスコープの説明は現場で少しずつ説明していく。
そしてピアス。これは必ず装着してもらう。
デザインも一種類だ。
無線機やGPSにもなっているから現状把握するのには絶対に不可欠。
もしこのピアスに不調があるようだったらすぐにでも取り替えるから優先的に報告してほしい。
ちなみに俺もつかったことがないシステムだがこっそり体調管理もしてくれるらしい。
神楽は自慢のシステムだけど実際はあまり気にされていない。
まだ隊長からブレスレットや手袋の説明は聞いてないよな?
まぁ食事前だったし最低限説明してあとは割愛したんだろう。
ここにあるのがブレスレット。
これがピアスの次に重要なアイテムになってくる。
これは地図システムにリンクしてナビ機能があったり時間や視覚的に入れる情報をメインにして制作されている。
万が一任務中にピアスが故障したときはこのブレスレットで報告することもできる。
逆もしかりだ。
昔はバイタル機能も付いていたけれど現在はピアスがその役割を果たしているから視覚的機能だけに特化している。
これはピアスの次に重要なアイテムだからこっちの調子が悪い時もすぐに報告するように。
そしてこれが手袋。
特殊加工しているから耐熱性を兼ね備えている。
そして我々元感染者だけが持っている特殊能力を扱いやすくしてくれるサポート機能がある。
三種類あるけどどっちがいい?」
右も左も分からないままいっきにアイテムの紹介をされ「へぇ」とか「はぁ」と相槌をうっていた中、急にそう聞かれロングサイズ ノーマルサイズ ショートサイズの手袋を目の前にだされた。
驚き目を白黒させながら手袋をしたことがない私は装着してみて違和感のなかったショートサイズの手袋をもらうことにした。
手が絶えずなにかに触るというのはかなり違和感があるし思った以上に手が動かない。グーパーして「付けなきゃダメか」と聞こうとしたのを察したのかアレックスに『装着は義務だ』と笑顔で言われてしまった。
「あとはまぁ服と武器だがこれは色以外はカスタマイズできるし隊員が自分で勝手にチョイスしていて申請さえすれば口出しはしていないからニールも動きやすいものを選ぶといいよ。
さっきパーカーを選んだんだっけ?
申請は…隊長がしてあるから大丈夫だね。武器ってつかう?」
これだけ沢山の武器がならんでいるのにまさか使うか否か聞かれるとは思わなかった。
「?」
「攻撃型の能力で使わない人もいるんだ。つかう場合は今申請しといた方が明日に備えられるよ」
使わない選択肢をとりたいが、私の能力は攻撃型ではない。
ただここには見慣れない武器も多く何を持てばいいのかはさっぱりだった。
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