第9.5話 休日2『氷継編』
「くっっっっそ暇だ...」
自室で一人ベッドの上でぼやく。
黒い目覚まし時計は午前七時を表示しており、土曜日にしては早すぎる起床だ。ゆっくりと体を起こししっかりと伸びをしてから、自室を後にした。
リビングには母と妹だけで父の姿はなく、どうやら朝から仕事の様。
───そういやあの日からなるべく家にいるよな親父
あの日とは、
「っま、今はそんなことはいいか」
そう言って、そこで今までの思考を止め別のことを考え始める。そう、名前だ。せっかくの休みを無駄に過ごすわけにはいかない。
ドサッとソファーに座って首を捻る。
「黒い毛並みの狼か...う~む」
「どしたのお兄」
「おはよう
「っえ、お兄あれにしたの?!凄いね、まあ事情はわかったよ。どんな子なの?」
「簡単に言えば黒い毛並みでオレンジ色の目の狼だな」
「すっごい簡単」
とはいえ、本当にこれくらいしか知らないのだ。知っていることと言えば、せいぜい
ペットなんぞ飼ったこともない彼にはかなりの難題にも思える。
「お兄、取り敢えず着替えて顔洗ったら?」
「確かに」
妹に促され直ぐに私服───四月ではあるが北海道はまだまだ寒い為、黒無地のセーターと黒のカーゴパンツ───に着替えて顔を洗って元の位置に座り直した。
ふと、
───Link───
氷継『おはよ、今いいか?』
輝夜『おはよう。ええ、どうしたのかしら』
氷継『早いな。天宮って飼育する領界種の名前何にするか決めたか?』
輝夜『ええ、もちろん。ルナよ、氷継君は?』
氷継『考え中。なーんも思い付かなくてな』
輝夜『決めたら教えてね』
氷継『おう、ありがとな』
───◇◇◇───
「天宮はルナ...ルナかぁ」
彼としても良い名前をつけてあげたい。
───あれ......もう一人って誰だっけ......?まあそのうち思い出すだろ
何故だかもう一人の顔も姿形も名前すら何も思い出せないが、思い出せないことは今重要なことじゃないから良いという主義の彼の為、未来の自分へと投げ出した。
「よーし名前はソルにしよう。俺の名字天道だしな」
太陽から取ってソル。
───我ながら良い名だ。天宮に報告しよう
───Link───
氷継『名前は太陽から取ってソルになったぞ』
輝夜『いい名前ね。よかったわ、ネーミングセンスがちゃんとあって』
氷継『おいおい、俺のことなんだと思ってんだ』
輝夜『少し心配だっただけよ。そうそう、今度アルベントさんと優奈君と街へ行くのだけど一緒にどうかしら』
氷継『良いけど、何しに行くんだ?』
輝夜『普通のショッピングと防具を見に行こうかなって』
氷継『おー良いな、是非ともお供します』
輝夜『はーい、それじゃあ詳細は学校で』
───◇◇◇───
「名前決まったの?」
「おう、太陽から取ってソルだ」
「お兄にしては良い名前つけたね」
「
「それとこれとは別」
辛辣な一言を受けて、普段そんなに酷かったかと思い返したが、そもそも本人がいくら考えたところで酷いかどうかなどわかるわけがない。ちなみに
そんな中、ふと彼が思ったのはソルに首輪を着けることが可能なのかどうかだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます